2015年は第二次世界大戦終戦後、70年目という節目である。経験者は少なくなり、語り継がれてることも少なくなってきた。だが、毎年膨大な数の関係書は出版されている。正直、どれを読んだらいいか、まったくわからないのが実情だろう。
2011年7月から始まったHONZでは、第二次世界大戦関係の本をたくさん取り上げてきた。終戦70周年の記念に、この4年間で紹介してきた関連書をもう一度紹介しよう。日本だけでなく、ヨーロッパ、アメリカ、中国と国の事情もさまざまである。興味を覚えた本があったら、書店、図書館で手に取ってみてほしい。 (※書影下のコメントは、レビューの書き出し)
ときは第二次世界大戦、ところは北アフリカ戦線。イギリス軍の前に立ちはだかったのは、「砂漠の狐」の異名を持つロンメル将軍率いる屈強のナチス・ドイツ軍であった。 …more
問題です!(SE:ジャジャン!)かつて「ロス・ジャルディン諸島」「イキマ島」「グランパス島」「中ノ鳥島」などが位置した海域はどこでしょう?
さてさて。クイズ番組にこんな問題が出る日は来るだろうか。たぶん来ない。難問過ぎる!…more
オーストラリア、メルボルン出身の著者マーク・カーゼムは、オックスフォード大学で人類学を研究していた。大学の帰りに馴染みの書店で大量に買い込んだ本を抱えて下宿先に帰宅したマークの目に一枚の紙切れが飛び込む。 ダフネノ トコロ ニ チチ …more
1939年に始まったソ連との冬戦争で活躍したフィンランド軍の狙撃手シモ・ヘイヘは、一部ネット上では有名だ。しかし、これまで日本では、ヘイへその人をテーマとした本は、きこれまで一冊も出ていなかった。本書は、1998年に60年間にわたって沈黙を……more
41連勝という金字塔を打ち立てた格闘家人生よりも「輝いていた」と自ら言った、その10歳の頃、古賀は、生まれ育ったソ連国境近い満州国ハイラルで、ソ連軍の猛攻撃にさらされた。亡命コサックの娘であった最愛の母や兄弟とはぐれ、一人でハルピンに辿り着き、そこで折り合いの悪い親族たちとしばらく暮らしたのち、…more
最近、歴史を意識させられることが多い。竹島でも尖閣でも、結局のところ歴史的経緯から紐解いていく必要が生じている。尖閣問題では中国国内で大規模な反日暴動が発生し、多くの日本人が心を痛めたのは記憶に新しいが、日本側が「領土問題など存在しない」と……more
ヒトラーを首相に任命した当時の大統領のパウル・フォン・ヒンデンブルグは、「私はライ麦パンしか食べません。愛国者はライ麦を食べる」と言ったというが、まさにライ麦パンによく合う味わいである。こちらは、「脂肪なし」のアイントプフ・・・more
『プラトーン』、『7月4日に生まれて』、『JFK』をはじめ数々の名作を世に送り出し、2度のアカデミー賞に輝いた巨匠オリバー・ストーンが、ドキュメンタリー制作を通じてアメリカの現代史を問い直した成果がここに結実した。本シリーズは、最新資料によ……more
太平洋戦争における日本軍の失敗を研究した『失敗の本質』は文庫版だけでも発行部数56万部を超える経営学(組織論)の名著だ。カバーされている戦闘はノモンハン事件、ミッドウェイ海戦、ガダルカナル作戦、インパール作戦、レイテ沖海戦、沖縄戦の6つ。太……more
ごく稀に、年に数回ほどだが、まるで導かれたかのように一冊の本と遭遇することがある。本書の強烈な磁力は、完成されたグラフィック広告のような表紙から発せられていた。 タイトルと写真を見た時の「この女性が!」という驚き。続いて副題の「8・1……more
スティーブ・マハリッジは良き父親であろうと努力を重ねていた。しかし彼の心の中には常に二人の男が存在した。良き父になろうとする平凡ではあるが愛情深い男と、心の奥に潜む野獣のように凶暴な男。父が見せる怒りの発作に著者の家族はたびたび苦しめられた……more
とざい、と~ざい。本日はぁ、HONZはじめてのだしものぉ、HONZプレミアム。レビューしまするは、なかのとぉ~るぅ。(知ってる人は、文楽の口上風に声を出してよんでみてください。) …more
2008年(平成20年)5月、都内の病院のカフェテリアでのインタビューで、小野田寛郎が筆者にもらした一言である。しかし、その先は同伴者に遮られて聞くことが出来なかったという。 …more
この二重スパイシステムは戦争終結まで、ドイツ側を完全に騙しぬいた。彼らはヒトラーの頭の中に入り込み、イギリス側が与えたいと思っている考えを植え付けることに成功していたというのだ。 …more
日本プロ野球界において、その年の最高の投手に与えられる「沢村賞」という栄誉。今年、満場一致で田中将大投手(楽天)に贈られたことは記憶に新しいが、この「沢村賞」という言葉の持つ響きには、今なお神聖なものがある。 …more
日本人の心に強く刻み込まれた戦闘機が存在する。純国産であり、開発された当時において、世界最高の能力を有した大空の王者。しかし、その強さにもかかわらず、大戦末期の劣勢覆うべくもない戦況で、多くの若者を乗せ、帰る事のない死の攻撃に赴かせるという……more
ハンナ・アーレント。どれくらいの知名度なのだろう。恥ずかしながら、昨年、この名を冠した映画を見るまで、その業績はおろか名前すら知らなかった。タイムラインで何人もが絶賛していた映画を観に行った。しばらく席をたてないくらいの息がつまるような内容……more
「どうせ直に兵隊に取られるのだから、今のうちに思いっきり野球をやっておきたい」甲子園準優勝投手の林安夫は1942年に朝日軍に入団。ルーキーイヤーのこの年、32勝22敗、防御率1.01の記録を残し、最優秀防御率のタイトルを獲得した。これらの数……more
今から遡ること、70年前の1944年6月6日。北フランスのノルマン地方の海岸で史上最大の作戦が行われた。「ノルマンディー上陸作戦」だ。この上陸作戦は連合軍の本格的な反攻作戦の一環で、上陸後ノルマン地方の都市カーンを軸にし、連合軍が大きく右回……more
冒頭から引きこまれる。「いまの私には、死はただ一ツの人間らしい道を歩んだということのできる方法です」今から65年前に15歳の少年が書いた遺書の一節だ。終戦の年の1945年、彼は11歳で家族を空襲で失った。路地をさまよい、ごみを漁り、闇市の屋……more
「米従軍カメラマンの非公式記録」とサブタイトルにある。終戦時に、記録のために日本に入った米軍のカメラマンが、私物のカメラで撮影していた、69年前の終戦直後の日本の姿。その300枚のネガは、いまわしい記憶とともに、トランクの中に封印されていた……more
胸が熱くなる一冊だ。戦後最後の沖縄県知事、島田叡。戦況が悪化する最中に沖縄県知事に就任し、沖縄戦にて戦争被害を最小限に食い止めるべく県政の陣頭指揮にあたった人物である。これまで日の目を浴びることなく歴史に埋もれていたことが信じられないほど、……more
台湾南端の鵝鑾鼻(がらんび)岬からフィリピン領バタン(バシー)諸島との間にある海峡をバシー海峡という。黒潮が流れるこの海峡は、かつて輸送船の墓場と呼ばれていた。太平洋戦争後半には、この海峡にアメリカ軍の潜水艦が多数配備されており、南方の戦線……more
もし、あなたがタイムマシーンに乗って時間を旅する旅行者ならば、対二次世界終結目前の1945年5月5日、オーストリアのチロル地方にあるイッター城で奇妙な戦闘を目にすることが出来るだろう。この日、この時、こじんまりした城に籠る小さな混成部隊は、……more
中国では「好死不如悪活」という言葉があり、変わり果てた姿になったとしても、死ぬよりは惨めながらも生きている方がよい、という意味らしい。中国で獄中20年4ヶ月耐え抜いた深谷義治さんとその家族の人生が、この言葉を体現しているようだ。もし、著者が……more
書影を見て、「ドクター・ハックって、あのハックか」と思わず手に取った。著者は『満州国皇帝の秘録』『トレイシー−−日本兵捕虜秘密尋問所』そして『四月七日の桜−−戦艦「大和」と伊藤整一の最後』の中田整一氏だ。面白くないわけがない。1914(大正……more
本書では、ヨーロッパでのナチス・ドイツと連合国軍の攻防戦、アメリカ中の天才が総力をあげて原爆開発へ取り組んだマンハッタン計画、さらにはアメリカの情報をあらゆる手段で盗もうとするソ連のスパイという3つのストーリーが同時進行していく。そう、この……more
第二次世界大戦が終わってから70年近くが経つにもかかわらず、いまだナチスというのは悪のレベルを推し量る一つの「ものさし」である。狂信的な集団による凄惨な事件の話を見聞きする度に、ナチスと比べてどちらが非道なのか、そして双方に共通するものは何……more
原子爆弾の原理、マンハッタン計画、ソ連のスパイ、戦争の進捗、大国の思惑などなど。むしろこれだけの話がよく一冊におさまったものだ。これまでに、何冊も、原子爆弾についての本を読んだことはある。しかし、ドイツやソ連の秘密文書の公開も取り込んで書か……more
第二次世界大戦時の戦闘機開発において、堀越次郎を擁する三菱と双璧をなす存在だった中島飛行機。その歴史の中で終戦後も語り草となってきたのが、奇跡のエンジン「誉」である。当時、世界最高水準とまで評された高性能を持ちながらも、相次ぐトラブルの発生……more
本書は史実を丹念に追いながら、チャップリンとヒトラーのメディア戦争の実相を暴く一冊だ。同時に、それはネット社会の現代を生きる私たちにとって非常に切実な課題を突き付ける。はたして、迫り来る全体主義の恐怖の中で、「笑い」という武器しか持たないチ……more
1939年に発生したノモンハン事件は多くの人間と国の運命を変える事になる。当事国である日本もソ連も、そして第二次世界大戦の引き金を引くことになる独裁者ヒトラーもこの国境紛争がそれほど重大な意味を持つようになるとは当時は気づいていなかっただろ……more