【連載】『家めしこそ、最高のごちそうである。』
レシピ③:見た目も超旨そうになる、絶品キノコ鍋
稀代のジャーナリストが語る、家庭料理の極意。「家めし」の美味しさを追求していったら、答えはシンプルなものへと辿り着いた。今日のレシピは、料理も見た目が9割!? 絶品キノコ鍋をご紹介。
キノコはいろんな種類をたくさん用意してみましょう。ゆでると小さくなるので、かなり多めにどっさり買っても大丈夫です。シイタケ、マイタケ、エノキ、シメジ、エリンギ、ヒラタケ。
シイタケは石突きを指でひねって外し、エノキやシメジは根っこの土のついた部分を切り落とします。エリンギは太いので手で人差し指の太さぐらいに裂いておきます。まあこのあたりの処理は適当で大丈夫。
だし。昆布とカツオ節で引くのが良いですが、前にも書いたようにいくらでも手抜きで。
鶏もも肉。前にも書きましたが、地鶏などのなるべく良いお肉を用意して、大きめのひとくちサイズに切り分けておきます。
道具は土鍋と、それと別に大鍋。
まず土鍋にだしを張って、鶏もも肉を入れて火にかけ、沸騰したら弱火にしてそのままぐつぐつ煮ます。あくは1、2度すくっておくぐらいでオッケーです。
もうひとつの大鍋に、お湯を沸かします。ここに全部のキノコをまとめて投入。ゆで時間は30秒です。それ以上ゆでると旨味が抜けていってしまいますから、くれぐれもゆですぎないように。
キノコをざるにあけ、そのまま土鍋へ。汁が飛び散らないように注意しましょう。 火を強め、沸騰しそうになってきたら、薄口醤油をおたまの半分ぐらい入れます。味を見て足りなかったら醤油は足さず、塩を加えて味を調整しましょう。火を弱めてできあがり。
このお鍋には、ユズやスダチ、カボスなどの柑橘もよく合います。別に小皿に用意しておいて、めいめいが取り鉢に絞って入れるようにするのがいいですね。
鍋の中にぎっしりと身を並べたキノコが、鶏の油できらきらと照り、実に旨そうな色になっていますよ。
佐々木俊尚 作家・ジャーナリスト。 1961年兵庫県生まれ。早稲田大政経学部政治学科中退。毎日新聞社などを経て、フリージャーナリストとしてIT、メディア分野を中心に執筆している。忙しい日々の活動のかたわら、自宅の食事はすべて自分でつくっている。妻はイラストレーター松尾たいこ。「レイヤー化する世界」(NHK出版新書)、「『当事者』の時代」(光文社新書)、「キュレーションの時代」(ちくま新書)など著書多数。
『家めしこそ、最高のごちそうである。』HONZにて集中連載!
第1回 はじめに
第2回 1970年代の家庭料理とは?
第3回 1970年代の外食は、化学物質とまがい物の時代だった!
第4回 外食ブームの陰で家庭料理は
第5回 健康的な食生活はだれでも送れる
第6回 美食でもなく、ファスト食でもなく
第7回 まず最初に、食材から考えること
第8回 「足す」料理と「引く」料理
第9回 【レシピ①】鶏もも肉と白菜だけでつくる究極の水炊き、自家製ポン酢とともに
第10回 【レシピ②】スーパーで売っている「焼きそばセット」を美味しく食べるすごい秘訣
第11回 【レシピ③】見た目も超旨そうになる、絶品キノコ鍋
第12回 【レシピ④】みんなの集まる家呑みで、全員が満足する料理。豪華なちらし寿司。