昨年に引き続き、今年最後のこのコーナーでは今年を振り返ります。と、いうことで2015年のそれぞれの月を盛り上げたHONZのアクセスNO1レビューを振り返り、この年末年始に読んでおきたい注目本を読者併読情報から読み解いて行きたいと思います。
掲載月 | 書名 | 平均 年令 |
男性 シェア |
1月 | 『あんなに大きかったホッケがなぜこんなに小さくなったのか』 | 52.6才 | 86.2% |
2月 | 『サイコパス・インサイド ある神経科学者の脳の謎への旅』 | 42.2才 | 41.7% |
3月 | 『老人たちの裏社会』 | 62.6才 | 75.0% |
4月 | 『超ひも理論をパパに習ってみた』 | 45.6才 | 76.2% |
5月 | 『黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実』 | 53.6才 | 66.7% |
6月 | 『ホワット・イフ?野球のボールを光速で投げたらどうなるか』 | 41.9才 | 67.2% |
7月 | 『性から読む中国史 男女隔離・纏足・同性愛』 | 77.0才 | 100% |
8月 | 『世界の辺境とハードボイルド室町時代』 | 47.4才 | 68.6% |
9月 | 『その道のプロに聞く 生きものの持ち方』 | 52.6才 | 32.7% |
10月 | 『「子供を殺してください」という親たち』 | 51.4才 | 19.2% |
11月 | 『冒険歌手 珍・世界最悪の旅』 | 47.4才 | 83.3% |
*記事が複数出たものは合算しています
これらの銘柄について、WIN+データから読者平均年令、男女比率を抽出しています。男性読者が多めの本がラインナップするという傾向は変わらないものの、世の中では女性に良く読まれた本もいくつか見られます。これを男女比(男性シェア)・平均年令をもとに相関図にしてみたのが以下の表です。横軸に男性シェア、縦軸に読者平均年令で各銘柄を配置してみました。
女性読者率が最も高かったのは『「子供を殺してください」という親たち』。昨年もそうでしたが、子どもが巻き込まれた事件関連のルポや手記は女性読者率が非常に高くなります。この作品、最も併読率が高かった本が、『家族という病』を2位に抑えて、湊かなえの『母性』という小説だったのも興味深いところ。意外だったのは『サイコパス・インサイド』の女性読者率の高さです。併読本にもコミックやミステリ小説が並び、独特な世界を醸し出しています。
一方で、データ上では男性読者しか購入歴が見あたらなかったのが『性からよむ中国史』です。もともとデータ量が少ないためこれだけで判断は出来ませんが、読者の多くが『中国狂乱の「歓楽街」』を購入しているということもわかりました。読者の平均年令も突出していた注目の1冊です。
同じく、年輩層に支持されたのが『老人たちの裏社会』です。今年は『下流老人』や『老後破産』など老後の問題を描いた作品がいくつもベストセラーとなりました。この流れは更なる加速を見せることでしょう。本の読者の高齢化が進む中、今後注目ジャンルとなるはずです。
逆に、若年層の支持率が高かったのが『ホワット・イフ?』。10代、20代の読者が多く反応していました。
それでは、これらの本の読者の併読本から、年末年始に読んでおきたい注目本を紹介しましょう。
元素周期表の暗記あたりで、化学を諦めた人もいるかと思いますが(私です)、そんな方にこそオススメしたいのがこちら。文庫版になったので、お出かけのお供にも最適!元素周期表になぞらえて人類の歴史を読み解くという画期的な内容で、化学嫌いの目からウロコを落とさせる可能性もある1冊。レビューはこちら
山口組分裂抗争は、今年の出版界を揺らしたニュースのひとつでした。1年を締めくくる形となったこの1冊は、アウトロー系ライターのドリームチーム(?)が集結しての豪華な内容。とのこと。通常は実話系雑誌で情報を得ている方々も、ぜひたまにはじっくりと状況整理してみては。
ピケティ本分析の際に「一昔前、塩野七生のローマ人を読んでいた人が、新作のない今年はピケティを読んでいた!」なんていう文章を書きましたが、なんとその待望の新作が出ました!あのローマ人の世界を描く新三部作がスタート。塩野ワールドにどっぷりはまってください。
ナショナル・ジオグラフィックの「絶対に」シリーズの最新作は『世界の未解決ファイル』。世界の七不思議という話がありますが、古代遺跡から迷宮入りの難事件までが未解決ミステリーとして語られています。
世界的な写真家たちが捉えた、奇跡のショットをふんだんに盛り込んだ豪華な一冊がいよいよ登場。図鑑とは違った、活き活きとした動きが捉えられている大人のための動物図鑑といえるでしょう。
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今年も残すところ数日。皆さんは今年一年どんな本を読んできましたか?今年話題になった本は今年のうちに、これから話題になる本はいち早く!ということで、来年もまた注目本情報をお届けしていきたいと思っています。良いお年をお迎え下さい。