渋谷駅から道玄坂を上り、道玄坂交番前の交差点に出る。この時期、雨に濡れたくなければ渋谷マークシティの中を通りぬけてくればいい。信号を超えて交番の前を取り過ぎ、およそ50メートルほど行ったところに、その図書室はオープンした。
クラウドファンディンク日本一を打ち立てた「森の図書室」。はやくから注目しパトロンのひとりとなっている私は、6月12日(金)の内覧会と13日のオープニングパーティに参加してきた。白いバックに森だけの看板。あれ、微妙に字が違う、とおもったら森の木が全部「本」という字になっている。スタッフのTシャツもそのロゴが入っている。うん、かっこいい。
主催者の森俊介さんは30代になったばかりだろうか、若くて大きくて頼もしそうだ。ここまで漕ぎ着けた喜び半分、これからの不安半分を隠そうともしないところが好ましい。メディアからの注目度も高く、内覧会には多くのマスコミが集まっていた。すでにホリエモンチャンネルにも出演し、これからますます各媒体に取り上げられるだろう。
3階に上り、入口はこちらというドアを開けると、もう一枚扉があって、本がこちらを向いてにらんでいる。会員制であるため、ここでスタッフを呼ぶことになる。年会員は入場料が無料だが、その他の人は500円。+飲み物代が必要になるが時間制限はない。
中に入ると壁が床から天井まで本棚が連なり、そこにびっしりと本が並んでいる。ギリギリまで「本が足りない」と言っていたので、どうなっただろうと思ったら、最後にたくさんの寄付があったそうだ。わずかだが、私も寄贈した。厚くて重くてかさばるけど、捨てたくないノンフィクションを10冊余り。仕事で必要になったら、ここに来てみればいい。
Wifiも入れました、仕事してください、と優しくいわれその気になる。
左手に進むと、突き当りは壁いっぱいに面で陳列された本。これはパトロンになった人のオススメ本。古き名著から最近のベストセラーまで並んでいるが、そこは本好き。「お、なかなかだなあ」と感心させられる選書がズラリ。
その前にはバーカウンターがあり、ここから飲み物と軽食が出される。オープンパーティはちょっと大変そうだったけれど、きっとすぐに慣れる。
入口から右にすすみ道路側にはベッドのクッションのようなふわふわのスペースがある。ここに寝転んで本を読んだら気持ちがよさそうだ。きっとぐっすり眠ってしまう人もでてくるだろう。本読みの胆をがっちりつかんでいる。
本棚の前には四人掛けのテーブルが設置され、本を眺めて手に取り読み始められる。わざとアトランダムに本が並べられていて、意外な本が隣り合わせになっているのが楽しい。でも、ざっくりでいいからジャンル分けしてほしいかな。それは私の希望。
木の匂いが気持ちよくて、ビールが美味しい。夕方6時から夜中1時までオープンしているそうだから、一杯飲んだ帰りがけ、1時間、ここで本を眺めるだけで安眠できそうだ。
各地にブックカフェができていると聞く。近くにあればいいなあと思っていた。渋谷の駅から徒歩8分のとても分かりやすい場所に開業するとツイッターでみて、すぐさま会員になった。それがあっという間に評判を呼び、気が付いたクラウドファンディングの予定額を大幅に上回り、最終日は申し込みが殺到してサーバーがダウン、その問い合わせのために、森さんの携帯までダウンしたそうだ。
スタッフは森さんを筆頭に若い。何かしたい、始めたい、という気概が感じられる。どうやってお金を設けていくんだろう?という老婆心を抑え、しばらく通ってみようと思う。何ができるかなあ、と可能性を考えながらの帰り道はとても楽しかった。