ここ数日で急激に寒くなり、各地から初雪の知らせが届いている。朝5時起きのHONZ朝会にはもう慣れたけど、やはり暗くて寒いなかを出かけるのは億劫だ。しかし、今日ばかりはそうは言っていられない。『ノンフィクションはこれを読め!2013』発売及び重版記念の公開朝会である。その上ゲストがすごい。ライフネット生命保険 代表取締役会長兼CEOの出口治明さんをお迎えした。どんな本をお持ちになるか、メンバー全員興味津々。
公開朝会の場所はHONZの聖地、六本木ミッドタウン内にあるスルガ銀行のD-Labo。ここにはHONZで紹介された本がたくさん置かれてある通称HONZ棚が設置されている。募集期間が少なくて、お客さんが集まるか心配していた編集長の土屋であったが、すぐに満員になり一安心。今回はメンバーを周りじゅうから取り囲む形で始まった。
まずは『ノンこれ!2013』の編集者、中央公論新社の渡辺幸博さんからご挨拶。昨年、「こんな本が売れんのかよ」という逆風のなかで始まった単行本が今年もまた重版になり、本当によかったとひとこと。
さすがに今回は参加者が多く、欠席は富山の野坂美帆ひとり。愛知の鰐部も大阪の仲野も朝会だけのために上京した。どれだけみんな本が好きなんだろう。お客さんも続々来場し、いつもの朝会が始まった。
最初は先に退席しなければならない人から始めるので、今日は鈴木葉月から。順番によっては本がカブってしまって手持ちが無くなる危険があるので、どっちまわりにするか鈴木の両隣、内藤と村上がじゃんけんし内藤勝利!私は最後の方になってしまい、胸がドキドキし始める。
予感的中。一発目からカブってしまった…… 19世紀、ジュール・ヴェルヌの小説を現実のものにしたふたりの女性記者がいた。翻訳が金原瑞人さんなので読みやすさは保証付き。
かつてあった「どうぶつ社」という出版社には良書がたくさんあった。本書もその1冊で20年ぶりぐらいに再販されたもの。講談社出版文化賞第一回科学出版賞受賞作。
これも単行本からしばらく経っての文庫化。古代からの陸上戦の勝敗を分析する。
いきなりの大判写真集である。世界中の滅びゆく民族を撮り続けた写真集。しかし、よくこんなの持ってきたよなあ、と全員が呆れる。内容はすばらしいんですよ、ほんと。
ネアンデルタール人は約30万年間、世界に君臨したという。その理由は何故かを解き明かしたもの。
賛否両論の一作。解説も反対の論を張っている部分があるという。
日本の農業がFAO(国連食糧農業機関)で認められて保護されようとしている。里山文化を残そうとする人々。
建築家が設計する前に、企画を立てること。これによって多くの視点から計画を見ることが出来る。
1ページあたりの金額が一番高い本。子どもを産めない人の代わりに産んでもらうことが産業となっている。
数日前、FBで書店勤務の野坂美帆が「こんな本が入ってきた~、誰が買うんだろう」とつぶやいているのを読みながら「俺は買ったんだよ」と言っていたそうな。昆虫食の本で、麻木が取り上げてページをめくり、かわいい悲鳴を上げていた。
「この本、難しいんだよね」とワタシ。仕事がらみで読んでいたのだが、そこに土屋と仲野も参戦。シンポジウムをまとめたものなのでちょっと学術的。栗下、まったく口を挟む余地なし。
「ちゃんと書評を勉強しようかと思って…」と殊勝な栗下。帯の「本が読まれないのは、書評がつまらないからだ」を肝に銘じよう。
様々な場所で使われるようになった「キュレーション」という言葉だが、本書は本来の美術分野の仕事。現代アートのシステムについて。
へっ?新渡戸稲造の?とみんなの顔がハテナマークになったが、三笠書房から出た新刊。一度はちゃんと読もうと思ったんだそうだ。いい心がけですね。
バウの番外編。海外で見る変な日本語総決算。
サウンドスケープ生態学。生物群が奏でる音響は相互作用している、という理論。
世界で初めて同時通訳が行われたのは、ニュレンベルク裁判だったそうだ。通訳のしくみ、通訳者の履歴、通訳史における意義などを詳しく論している。
キャロライン・ケネディの日本着任を記念し、また没後50周年のため、たくさんのケネディ本が出ている。本書は電話の会話を全部録音してたものを公開。
新渡戸稲造に続いて白洲正子?と思ったが、大学生じゃ知らなくても仕方がない。これを機会に白洲さんの文章をたくさん読んでくれたらいいな。
柳瀬博一
今回特別参加の日経BPの編集者さん。いつも面白い本をありがとうございます。
タモリクラブでも紹介された、全く架空の地名の地図を精巧につくったもの。「ああ~っ」という悲鳴があちらこちらから。特に本の数が少ない成毛は苦虫をかみつぶしたようだ。
地形は川が作り上げたものだ。流域の歴史さえ分かれば災害も防げる。地図は流域から作ろう。
ミツバチの頭の良さは古くから言われているが、集団で行動するような、例えば分蜂などはみんなで話し合ってきめているのだそうだ。成毛が悔しがって全部説明してくれた。
夜行バスで久々の参加。この本、私は今朝出がけに、誰かとダブりそうだと思って置いてきた本。よかったなあ。近々鰐部のレビューが出ます。お楽しみに。
戦闘機パイロットだったアメリカ空軍中佐の体験談。
イギリス人女性がイタリア旅行中、突然売られて売春婦にさせられてしまった。衝撃の告白記。
子ども電話相談室のように様々は子供からの質問に第1級の学者たちが答えている。ドーキンス、チョムスキー、デヴィッド・アッテンボローなどなどが納得の回答を寄せている。
田中の先輩もここに取り上げられているそうだ。善き書店員を日々目指しているらしい。
よく読む雑誌によって人種が決まってくる。その法則を見つける。
ベンチャービジネスで自閉症の遺伝子を見つけるキットが販売されたが、やはりなかなか難しいらしい。大学を休んで朝会に参加。すばらしいです、センセ。
パンが好きすぎて、周辺の言葉の事典を作ってしまった、という話。イラストも可愛くていい。
思わずダブった!と声を上げたのが4人。今月一番のカブり本だ。成毛もイチオシで持ってきていた。人物からよむ近現代日本科学史。小ネタがすごく面白くて、読むのが止められなくなるそうだ。
さて「11月の今月読む本 その1」の殿を務めていただくのは出口治明さん。みんなのバトルに唖然とされている。
厚さは8センチくらいありそうな二段組みの本。ウェルズの生涯を丁寧に探っていく。
デザイン集団nendoを率いる佐藤ナオキ。その行動哲学を明かす。
文春文庫の新しいラインナップは古典的名作の再出版。昨今の中国との関係の難しさから、もう一度基礎から読みなおそうと思ったのだそうだ。
あまりに長くなるのでその1はここまで。あと半分、朝会は続きます。お楽しみに。