『偉人リンカーンは奴隷好き』
高山正之の「変見自在」シリーズ第5弾である。面と向かって知り合いに「厭味」をいう人に、本物の悪人はいないと思う。「罵る」と「厭味」は異なるのである。著者は産経新聞出身の名物コラムニストであり、毎度「厭味」を言われるのは朝日新聞と船橋洋一だ。「厭味」なのだから、真に受けて著者に対しても、登場人物に対しても、怒ったりしてはいけない。斜に構えてニヤニヤしながら読むのが本書の正しい読み方である。
『不思議な数列フィボナッチの秘密』
書店の店頭で手に取って、適当にページを開くと必ず数式が目に入ってくる。しかし、ほとんどの数式は中学生レベルのものだから、慌てる必要はない。ざっくりと読んだ感じでは第8章の「フィボナッチ数と音楽」が面白そうだ。
『月イチゴルファーが無理なくシングルになれる72の法則』
結構無理筋な書名である。そんなことが本当に可能だったら、定価を30万円に設定しても、1時間で1000部は完売するであろう。とはいえ、本書はボクにとってベストテキストになった。じつに頭の良い人が書いた本である。もちろん著者はプロゴルファーではない。いわゆる理系・技術屋だ。新書版でも栞をつけているところが心憎い。
『シークレットサービス』
この本はかなりのおすすめである。「目から鱗」「映画のようなシーン」「そうだったのか」が満載である。民主党の大統領より共和党の大統領のほうが、お人よしが多そうだ。その中でもブッシュ夫妻は最高だ。日本でも鳩山、小沢、菅よりも小泉、安倍、麻生のほうがはるかにお人よし風だ。ブッシュの章では村井理子さんのブログを思い出した。
『満洲の情報基地ハルビン学院』
帯には「満鉄、満映を凌ぐ情報力。武器はロシア語とインテリジェンス」とある。テーマから安易に想像できる「佐藤優のおすすめ文句」は書かれていない。となるとターゲットとしている読者は「衒学趣味信奉者」ではなく、まともに満洲や当時のインテリジェンスに興味を持っている読者なのかもしれない。これは読めるはずだ。
『みんなが知りたい 船の疑問100』
今月もサイエンスアイ新書を買っちゃった。ゴキブリホイホイならぬ、サイエンスホイホイだ。ただでさえ飛鳥Ⅱに4日間ほど乗ったあとだから、船の構造には興味津津だったのだ。これまで読んだ船の入門書のなかで最高の出来。メカマニアにはチョーおすすめである。
あと10冊くらい買ったのだけれど、万人向けでなかったり、とんとつまらなかったので省略。『勃発!日米韓VS北朝鮮 別冊宝島』なんてのは出版社には悪いけれど、とてもまともに紹介できない。
現在、9月に発売される大作家の新刊の書評用に、編集部からゲラをいただいて読んでいる。献本どころか献ゲラである。相変わらずめちゃくちゃ面白い。
同時期にある書店店頭で小飼弾氏との対談を予定されている。自分の本よりこの大作家の新刊をおすすめするイベントになってしまいそうだ。