読書週間が始まっています。今は読書週間が拡大して読書月間になって、読書の秋を盛り上げています。そんな今月の先月出た本。1冊目は『なぜ私たちは燃え尽きてしまうのか』から。
最近「バーンアウト症候群」という言葉がよく聞かれます。まさに“燃え尽き”ですが、耳慣れた言葉に思えて、この意味は正確に理解されていないのだそうです。この文化を終わらせるためにはまずは知ることから…と燃え尽きに立ち向かったのは自ら大学教授の職に燃え尽きたという著者。燃え尽きた結果、寿司職人やコインパーク管理人をしていたという彼のノンフィクションも読みたいところですが…なぜ人は過酷な仕事に高い理想を持ってしまうのか、様々な角度から分析していきます。
それでは、この他10月新刊から注目した本いくつかを紹介していきます。
著者、ロバート・サポルスキーはアメリカの行動生物学者。今回は「善と悪」に挑みます。戦争で互いを傷つけるのも、傷ついた人を助けるのも、どちらも人間、それも同じ人がとりうる行動です。だとしたら、その善悪を分けるものはなんなのでしょうか。ある行動の瞬間の一秒前に脳内に起こっている事、その前の感覚・・・・といったように、時間を遡り行動を決定する要因を探っていきます。
まさに、人間行動の根源に迫る旅のスタートです。
ロスチャイルド家といったら知らない人はいない名門一族です。ただ、一族の歴史は男性目線で語られることが多かったのではないでしょうか。一方、女性は家の掟や慣習に縛られ、政略結婚をさせられている。といったイメージを持っていました。もちろんそういう側面もあるのですが、ロスチャイルド家は多くの才女も産みだしています。たとえば株取引の天才、政治のフィクサー、文化パトロンや学者など。彼女たちの活躍も家の隆盛に一役かったに違いありません。そんな歴史の違う側面を描いた1冊。
動物好きにとっては「動物と話す」は夢の一つでしょう。映像作家である著者が生物学の革命を追ったドキュメント。原著は各種アワードにおいて高い評価を受けています。
「動物用のグーグル翻訳」の開発を目指す若者、クジラと人間は話せないのか?という疑問に取り組んだ彼らが挑む「なぜ、クジラと人間は話せないのか?」という疑問は解決されるのでしょうか。
n番部屋事件については、以前もこのコーナーで『男たちの部屋』を紹介しました。こちらの本は、この韓国社会を震撼させたデジタル性犯罪の実態を描いた潜入取材のノンフィクション。
多くの未成年者が性的に搾取されたこの事件。チャットルーム「n番部屋」ではおぞましい犯罪行為が行われながらも、数万人が傍観を決め込むという異常な事態になっていました。記者志望の二人、この著者である追跡団火花が立ち上がり、事件を暴くまでの実態が記されています。
表紙を見る限り、ポップでおバカな物語が繰り広げられていそうに見えますが、内容は“スチュワーデス革命”。当時は太るのも、結婚も妊娠も、それどころか安眠も加齢(!?)も不可、というありえないロウ号環境だったそうです。まさに人間の尊厳を求めたスチュワーデスたちの闘いの物語。
巨大航空会社を相手取って勝利した彼女たちの活躍と粘りをぜひ知ってください。
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読書の秋に本屋さん巡りは最高ですが、ここに「気になる本を探す」というテーマが加わったらなお良し、でしょう。気になる1冊が見つかりますように。