この度、青木薫さんは『科学革命の構造 新版」で2023年日本翻訳家協会翻訳特別賞を受賞されました。なんと18年もの間、恋焦がれてプロポーズをしてきた本だそうです。詳しい経緯は東えりかとの対談内で話していますので、ぜひご一読ください。
さて朝会の続きである。リアルに参加したメンバーの一巡目が終わりましたが、何冊か隠し持ってきている人がいるようなので、それも紹介しましょう。
◆ 仲野徹
いまや絶滅危惧種になりつつあるというラブホ。昭和の徒花のような、日本の特殊文化ですね。同時発売のこちらは、ちょっと恥ずかしくて買えなかったそうです。
もう一冊も建築もの。
◆ 首藤淳哉
間違えちゃいけないのは、料理を科学する本ではない、ということ。科学記号や構造をそのまま料理の形にしちゃう、って意味がよくわからないんですが…。首藤も買ったはいいけどよく分からん、と言ってメンバーにまわしたところ「おもしろいー!」と反応したのが青木薫さんでした。なんか創作意欲を刺激したようで、大喜びしているのをみて、首藤はこの本をプレゼントしていました。
◆ 西野智紀
ノンフィクション風の小説として出版されたのですが、なんか微妙に事実のようで不穏な作品。海外ミステリ好きの間ではかなり評判になってます。
◆ 刀根明日香
刀根ちゃんは沢木さんの大ファンですからね。これは読み逃せません。
◆東えりか
私からは2冊。衝撃だった『驚きの介護民俗学』から10年。著者の六車さんの介護はどんな進化を遂げているんでしょう。もう一冊はちょっと変わったB級グルメ本。みんな大好き、労働者が集まる大衆居酒屋や立ち食いそば屋さんを食べ飲み歩いたみりょっく的な本。
さてここからは当日参加できなかったメンバーから「これ読んでます」と届いた本です。本人コメントとともにどうぞ!
◆ 鰐部祥平
民主主義国家が様々な問題を解決出来ずに混乱し衰退しているように見えた時代にひとりの独裁者が台頭し、民主主義国家の不安、不信、決断麻痺の間隙を突いて戦争を始める。似たような状況にある現代、私たちは歴史から何を学ぶべきか?そう思い選んだ一冊です。
◆ 山本尚毅
『ブルシット・ジョブ』や『官僚制のユートピア』の著者グレーバーの遺作。これまでのグレーバーのどの本よりも刺激的で攻撃的で面白い。物理的に、700P近くの鈍器本であるし、知的にも信じてきたことを覆されるという点でも凶器のような本です。
◆ 田中大輔
ドイツの最も美しい本賞ノミネートということで、本のヴィジュアルに惹かれました。文字に関する歴史から体系が漫画のようなコマ割りで描かれている絵本です。絵本とはいえ説明の文字数が多いので完全に大人向きの本です。
古代の楔形文字からヒエログリフ、世界各国で現在使われている文字、さらにはフィクションの世界で『指輪物語』の「中つ国」で使われているものまで、イラストで紹介されています。現在ではあらゆる文字がコンソーシアム(協会)に登録されていて、登録されているフォントをインストールすれば楔形文字やスタートレックに出てくるクリンゴン文字もメールに書けるとのこと。美しい文字を見ているだけで楽しめる一冊です。
◆ アーヤ藍
ここ数年、受刑者・刑務所に関する領域に関心をもっているのですが、関心をもつきっかけになった一つが、ドキュメンタリー映画『プリズン・サークル』でした。本書はその監督である坂上香さんの新著です。長年にわたり、国内外の刑務所・受刑者を見つめ続け、映画と本を通じて発信されてきた方なので、この新刊もぜひ読んでみたいと思っています。
以上です。本の話題は楽しいですね。また何かイベントを考えましょう、と解散になりました。13年目のHONZもどうぞごひいきに。