先月「暑い暑い7月が終わりました。」と書いたのに、暑さは9月スタートになっても変わらず、クーラー猛稼働の日が続いています。とはいえ、秋はもうすぐ、読書の秋に向けて気になる本の発売が相次いだ8月でした。本好きにオススメしたいのが『索引 ~の歴史』です。本読みだったら当たり前に目にしている「索引」には、ものすごーい歴史と多くの人々の努力が隠されていた、という索引の歴史。これまでさっと読み飛ばしていた人も、改めて観察したくなること間違いナシの1冊です。
その他、8月新刊から注目した本いくつかを紹介していきます。
今、ちょうどドラマの「VIVANT」を一生懸命見ている最中なので、ダブルスパイものが気になって仕方ありません。商品情報を見たときには、CIAとKGBを舞台にしたフィクションが発売になるのか…と思ったのですが、ジャンルを見たら「ノンフィクション」になっていたため慌ててチェック。内部にKGBの密告者が潜んでいる事が明らかになってきたCIA。それを明らかにするために仕掛けられた諜報戦、そしてKGBを売った男が明らかにした西側で動く工作員たちの姿とは…で、そもそもこれは事実だったのか。まるでドラマのような事件が繰り広げられるノンフィクション。
ランサムウエアの攻撃被害が増加していることが大きな問題になっています。現代の恐喝事件に挑むのははみ出しもの集団。そんなチームの活躍を描くノンフィクションです。そもそもランサムウエアを産みだしたのは誰だったのか、被害に遭うと、どんなことが起きるのか。当事者たちの活躍のほか事件の沿革も描かれていることで、ビジネス書としても読める内容になっています。ハッカー版『マネー・ボール』と言われたら興味をおぼえずにはいられません。
今や女性パイロットも珍しくなくなっているとは思いますが、こちらは飛行機黎明期に航空レースに挑んだ5人の女性パイロットの物語。こうやって様々な角度から伝記を探したり読んだりしていると、どのジャンルにも黎明期に女性が活躍している事が見えてきます。女性が活躍できていない事を嘆くだけでなく、時代を作り上げてきた女性に光をあてる事が出来るのがノンフィクションでもあります。航空史に残る女性たちの物語を堪能ください。
韓国のベストセラー作品、そして蓮池薫さんが約10年ぶりに翻訳した、ということでも話題になったノンフィクション。特殊清掃について描いたノンフィクションはいくつかありますが、コロナ禍中で発売されたこの本は、孤独死を見つめ、死について考える機会を作って韓国を揺るがす作品になっていたようです。
いわゆる「虫の知らせ」というものがあります、ふとある人の事を考えたら、その人から連絡があったり、何かがあったり。人間は本当に予知の力を持っているのか、という疑問を抱いたイギリスの精神科医は「予知調査局」を設立…と書きながら、映画の告知文かもと思ってしまいましたが、これは実話だそう。さらにこの話がすごいのは、この研究を通じて「知覚者」が現れること、そして彼らがこの精神科医の死を予知した…というところ。この研究はどういうところにたどり着くのでしょう。
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もう少しで過ごしやすい季節になるはずです。涼しくなった空気を感じながらゆったりと読書、という9月を過ごせますように。