球春到来!例年この時期は、野球やサッカーの選手名鑑が店頭を賑わしているものですが、今年はWBCの影響でさらなる盛り上がりを見せているようです。選手から監督まで多くの本が注目されています。その中で注目したい本といったらやはりこれ『アンビシャス 北海道にボールパークを創った男たち』でしょう。
『嫌われた監督』で各賞を総ナメした鈴木忠平さんの最新作、そして先日オープンした北海道の新球場エスコンフィールドHOKKAIDOを含む北海道ボールパークFビレッジの裏側を描いたノンフィクションとして発売と同時に大きな動きを見せています。
3月も気になる作品がいくつも発売されています。その中からをいくつかをご紹介。
コンピュータ、サイエンスの分野では忘れてはいけないのがChat GPTをはじめとしたAI技術の進化の話題です。とはいえ、発表から間もないこともあってまだ新刊の発売は多くありません。裏側などのノンフィクションが出てくるのはもう少し先の事になるでしょう。テクノロジーの進化の一方で、改めて考えられているのが心のあり方や、哲学、会話といった分野の話です。技術とどうやって付き合っていくのか、単なるテクニックでない深い考察にはやはり本が有用です。この『リアリティ+』は、この世界が本物かどうかを問いかける1冊。
また、文藝春秋から発売された『会話の科学』は対話が重要視される今の文脈でバズり中です。
著者のビル・ヘイトンは英王立国際問題研究所のアソシエイト・フェローでありジャーナリスト。過去の著作『南シナ海』では南シナ海の歴史と力関係、起こっていることを描いています。この『「中国」という捏造』では、そもそも中国の5000年以上と言われている歴史認識にメスを入れ、近代になって創り上げられたものである。ということを解き明かしていき明日。それがどのように出来上がっていったのかを紐解いていく歴史的1冊。
動物のノンフィクションを追いかけていると、動物たちも仲間の死を悼み、これから起こる事を考えるということがわかってきます。身近なネコやイヌが眠りながら表情を変えていたのを見ていたので「夢を見ているのかな」と思ってはいたのですが、やはり動物も夢を見るようです。
人間の夢は、時として曖昧で、起きているときとの境界がわからなくなるようなものがありますが、動物の夢は非常に理路整然として、生活に利用できるような効率のよいものであることがわかってきたということです。確かに、寝ぼけてボーッとしていたら命に関わりますもんね。刺激的な真実が見えてきそうです。
ノンフィクションジャンルの中で新刊が増えてきているのが「植物」でしょう。理由は4月からのNHKの連続テレビ小説が、牧野富太郎博士をモデルにした物語だ、ということ。このため植物図鑑や、自伝などの復刊、新刊が相次いでいます。ちょっと変わり種で面白いな、と思ったのがこちらでした。もし植物が、高い知性をもった「知的生命体」だとしたら…というテーマに取り組んだのがこの本。脳を持たない植物ですが、驚くべき内面世界を持つことがわかってきています。植物の見方が激変しそうな1冊
ちょうど先日、教科書検定の結果が発表されました。教科書にQRコードがつくなど、デジタルに向かって大きく舵を切ってきた教科書ですが、一部には「読み書き」に障害を抱えた子どもがいます。そんな教科書が読めない子どものために、その子たちでも読める、読みやすいフォントを開発した書体デザイナーのノンフィクション。多様性の時代を創り上げるためにはこういった情熱が必要なのだと感じます。
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久しぶりにマスクのない春(花粉症の方は大変そうですが)を迎えることが出来ました。桜の下での花見も久しぶりです。外に出たくなる季節、お出かけのお供に本をどうぞ!