自粛生活が長くなり書店店頭の売行きにも変化が出てきました。おうち時間の読書が増えたため、ページ数の多い重厚な本の動きが良くなっています。ベストセラーランキングを賑わすような本も出てきており「鈍器本」ブームか!といった話題にも。ノンフィクションには名著の鈍器本が沢山あるのでこういうものがまた注目されていくとよいのですが。
今月もこれから出る注目ノンフィクションを紹介していきます。まずは予約ランキングから。2021年5月21日時点の予約受注実績から6月以降に発売になるタイトルを抽出しノンフィクションの予約ランキングを作成しました。(日販調べ:タイトル・発売日等今後変更になる可能性があります)
注目は『シン・エヴァンゲリオン論』。劇場公開後も「どう見たか」「どう感じたか」という盛り上がりが尽きない映画ですが、評論本が出てきます。同タイミングで、複数著者のエヴァンゲリオン論を編んだ『シン・エヴァンゲリオン』を読み解く』も発売されるのであわせてご注目を。
出版社 | 商品名 | 著訳者名 | 発売予定年月日 |
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PHP研究所 |
『デジタルトランスフォーメーション(DX)の |
冨山 和彦 | 20210701 |
新星出版社 | 『BANKSY』 | ジョン・ブランドラー | 20210622 |
講談社 | 『円周率πの世界』 | 柳谷 晃 | 20210617 |
講談社 | 『中国の歴史12 日本にとって中国とは何か』 | 尾形 勇 | 20210610 |
河出書房新社 | 『シン・エヴァンゲリオン論』 | 藤田 直哉 | 20210629 |
KADOKAWA | 『NHKスペシャル 戦争の真実シリーズ3 731部隊の真実』 |
NHKスペシャル取材班 | 20210825 |
KADOKAWA | 『官邸の暴走』 | 古賀 茂明 | 20210610 |
朝日新聞出版 | 『「論語と算盤」渋沢栄一と二松学舎』 | 学校法人二松学舎 | 20210618 |
文藝春秋 | 『小林秀雄美しい花』 | 若松英輔 | 20210608 |
講談社 | 『憲法と国家の理論』 | 清宮 四郎 | 20210610 |
これから出る本リストから注目作品を紹介していきます。
イノベーションを志す経営者にはSFを好んで読む人も多いそうです。それどころか実際にSFを通じて未来を想像し、その逆算から事業や製品を作るということが始まっています。すでにマイクロソフトや日産、清水建設などで採用されているビジネス手法。想像力をビジネスに活用する動きはフィクションとノンフィクションの距離を近づけることになるのかもしれません。
4月にはSF作家たちがポストコロナの世界を描いた『ポストコロナのSF』も発売されています、あわせてお楽しみください。
ALSと診断され余命二年の宣告を受けた著者。ところが、ロボット工学博士であって著者はその宣告を自らの研究に活用する事を考えます。自らを実験台にして、肉体をサイボーグにしていくというその実験は、人間とは何かを問いかけてくるものでした。今ではピーター2.0として完全にサイボーグに生まれ変わって活躍を続けているそうです。人類が踏み出した新たな一歩と、その決断までの日々を描いた自伝は原著発売以降も大きな話題となっています。
2万円を超える高額本ですが、組織論の専門家が本気で犯罪組織の組織構造を分析しているとあって興味深い内容になっています。犯罪組織も一般企業と同様一定のルールがあります、ただ、それは大きく通常の組織と違うもの。暴力や殺人を行うときにどういったルールがあるのか、犯罪企業としてのビジネスはどう営まれているのか。7つの著名な犯罪組織集団を徹底的に読み解き組織のロジックを導き出す、まさに類書のない本!
気候変動や飢餓など、今後地球が直面するであろう問題を憂い警告する本が増えています。実際に私たちの生活でも「季節の移り変わりがこれまでと違う」ということを感じる事が増えてきました。この本は世界で起こった天変地異のような気候を取りあげたもの。大きな被害を起こしたものばかりですが、自然の力への畏怖をも感じるものになっています。こういう極端な異常気象を知り、恐れることで毎日の生活も変わってくるのかもしれません。
もはや非常に馴染みのあるアプリとなり、生活やマーケティングにも欠かせないものになっています。多くの「Instagramの使い方本」が出ている一方、創業者にまつわるストーリーはそれほど話題になっていません。草創期からFacebookによる買収、創業者の辞任まで、その裏側を描いたドラマが登場します。マーク・ザッカーバーグとの関係など読みどころ満載の一冊。
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6月は翻訳ノンフィクションが勢いを見せてくれそうです。心に残る本との出会いがありますように。