天候に恵まれたこともあり、12月から年末年始はよく本が売れた月になりました。特に長い冬休みのスタートとなった12月28日は1年のなかでもっとも本が売れた日になったようです。年末年始には重厚な本がよく売れます。『21Lessons』や『サピエンス全史』『哲学と宗教全史』などここで取り上げた本もよく売れました。そういったタイトルに並び注目を集めたのが『時間は存在しない』です。
『時間は存在しない』は、昨年8月末に発売されたサイエンス本で、HONZでも9月5日に冬木レビューが出ています。しばらく目立った動きはなかったのですが、じわじわと売れ続け年末に売上ピークを迎えるという面白い動きをしています。週次の売上をグラフにしてみると年末に来て売行きが上がっていることがよくわかります。
では読者はどんな方でしょうか?読者の7割は男性。50代、60代の読者が多いようです。この本がもっとも売れた日は12月28日だったのですが、この日は朝日新聞に広告が出た当日。新聞読者層との相性がよく、しっかり刺さったようです。
併読本を見てみましょう。『時間は存在しない』の読者が過去1年間に購入した本の併読本ベスト10はこちら。
った動きはなかったのですが、じわじわと売れ続け年末に売上ピークを迎えるという面白い動きをしています。週次の売上をグラフにしてみると年末に来て売行きが上がっていることがよくわかります。
では読者はどんな方でしょうか?読者の7割は男性。50代、60代の読者が多いようです。この本がもっとも売れた日は12月28日だったのですが、この日は朝日新聞に広告が出た当日。新聞読者層との相性がよく、しっかり刺さったようです。
併読本を見てみましょう。『時間は存在しない』の読者が過去1年間に購入した本の併読本ベスト10はこちら。
銘柄名 | 著訳者名 | 出版社 | |
---|---|---|---|
1 | 『FACTFULNESS』 | ハンス・ロスリング | 日経BP |
2 | 『ビッグ・クエスチョン』 | スティーブン・ホーキング | NHK出版 |
3 | 『独ソ戦』 | 大木毅 | 岩波書店 |
4 | 『21Lessons』 | ユヴァル・ノア・ハラリ | 河出書房新社 |
5 | 『Think clearly』 | ロルフ・ドベリ | サンマーク出版 |
6 | 『宇宙と宇宙をつなぐ数学』 | 加藤文元 | KADOKAWA |
7 | 『反日種族主義』 | 李栄薫 | 文藝春秋 |
7 | 『哲学と宗教全史』 | 出口治明 | ダイヤモンド社 |
9 | 『社会学史』 | 大澤真幸 | 講談社 |
9 | 『資本主義の終わりか、人間の終焉か?未来への大分岐』 | マルクス・ガブリエル | 集英社 |
ホーキングの再来と言われる著者らしく、『ビッグ・クエスチョン』との併読率が高くなっています。とはいえ、サイエンスジャンルに限らず歴史から経済まで幅広い知識を求める方に手にとられているようです。
タイミング良く、著者の代表作ともいえる『すごい物理学講義』が年末に文庫化されたされたことで、こちらとの併読も目立ちました。
それでは併読本リストから気になる本を紹介していきます。
こちらも12月中旬以降売上大ブレイクの1冊。子ども向けの生物本が大ブームでしたが、大人になってから生物の勉強をし直したい方にはこちらもオススメ。生物から人が様々な事を学ぶ時代、人類の欠点を生物の不思議が補ってくる日が近いうちにくるかもしれません。
「若い読者に」とありますが、残念ながら読者の年齢層が高めなので、ぜひ若い方、手にとってみてください。
歴史をひもとくと江戸時代はとても災害が多かった時代であることがわかります。大火、地震、噴火。私たちの生きる時代と同じ災害に襲われた人たちはどうやって復興し、どう対策していたのでしょう。歴代のオランダ商館長が残した克明な記録がハーグ国立文書館から発見されました。
『時間は存在しない』と同じく「時間」について考えた本がこちら。著者は哲学の専門家ですが、哲学の分野にとどまらず科学的な知見もいれつつ「心にとっての時間」について考えています。非常に併読率の高かった本です。
『直感と論理をつなぐ思考法』の著者の最新作。発売されて間もない本ですが、ビジネスパーソンの注目度がぐいぐい上がってきています。「変革」「イノベーション」。そもそも企業で答えをもってこの号令を出している上司はどのくらいいるのでしょうか。イノベーションとは名ばかりの小手先の変化から脱却するためには何が必要なのか。妄想から始まる“VISION DRIVEN INNOVATION”の実践知をまとめています。
*
「ああ、令和元年もすぐ終わっちゃったね」と言ってみたその翌週には、「はあ、この仕事始めからの1週間は長かった~」とぼやく。まさにそういうことが時間の謎なのか!と、今改めて考えさせられています。バタバタ慌ただしく時間を過ごしてしまわないように、年の初めに改めて「時間の謎」について考えてみてはいかがでしょう。
あ、そういう意味ではミヒャエル・エンデの『モモ』なんてのもオススメです。