一昨年からずーっと続いてきた生き物ブームに変化の兆しが見えてきました。Twitterコメントがバズり、予約殺到全国的な品薄が発生した『リアルサイズ古生物図鑑』を皮切りに、今度は『わけあって絶滅しました。』が大ブレイク中!この夏は「ざんねん」を通りこして絶滅しちゃった生き物たちの季節になりそうです。
今回は『わけあって絶滅しました。』について見ていきたいと思います。まずは売上の推移から。この作品が店頭に並び始めたのは7/20くらいから、そこから一週間程度で一気にブレイクしています。
この火付け役になったのは、7/27の日本テレビ 「NEWS ZERO」での放映でした。今は若干品薄状態となっているため、この後重版が投入されればさらに売上が伸びていくと思われます。
ではどんな方が購入しているのでしょうか?
児童書ジャンルで展開されている事が多いため、やはり読者は母親世代が多めです。また、年輩のお客様はお孫さん向けの買い物でしょうか。
続いて、併せて購入している銘柄を見ていきましょう。下記は『わけあって絶滅しました。』の購入者が過去2年間に購入したものTOP10です。
銘柄名 | 著訳者名 | 出版社 | 本体価格 | |
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1 | 続ざんねんないきもの事典 | 今泉忠明 | 高橋書店 | ¥ 900 |
2 | ざんねんないきもの事典 | 下間文恵 | 高橋書店 | ¥ 900 |
3 | 続々ざんねんないきもの事典 | 今泉忠明 | 高橋書店 | ¥ 980 |
4 | せつない動物図鑑 | ブルック・バーカー | ダイヤモンド社 | ¥ 1,000 |
5 | 生まれたときからせつない動物図鑑 | ブルック・バーカー | ダイヤモンド社 | ¥ 1,000 |
6 | ざんねんな偉人伝 | 真山知幸 | 学研プラス | ¥ 1,000 |
7 | 漫画君たちはどう生きるか | 吉野源三郎 | マガジンハウス | ¥ 1,300 |
8 | 日本一楽しいかん字ドリル うんこかん字ドリル 小学1年生 |
文響社 | ¥ 980 | |
9 | 泣けるいきもの図鑑 | 今泉忠明 | 学研プラス | ¥ 900 |
10 | 日本一楽しい漢字ドリル うんこ漢字ドリル小学5年生 |
文響社 | ¥ 980 |
上位には想像どおり『ざんねんないきもの事典』シリーズが顔を揃えました。続いてダイヤモンド社の『せつない』シリーズ。普通、こういった児童向けの銘柄の場合、上位に「コロコロコミック」や「ちゃお」、はたまた「少年ジャンプ」といった雑誌が顔を見せるのですがそれがまったく上がってきていません。かわって並ぶのが図鑑、歴史の本といった学習系の読み物です。その中では複数冊数を購入されているというお客さんも多いようでした。
それでは読者の最近の併買商品から注目のタイトルを見ていきましょう。
絶滅した生き物の代表格、恐竜関連の本はやはり人気です。今年も「夏休み子ども科学電話相談」でも恐竜トークが盛り上がっているようですね。回答者としても人気のダイナソー小林先生による『やりすぎ恐竜図鑑』は「なんでこんなに進化しちゃったんだろう?」に答える図鑑。確かに、この角こんなにいっぱいいるの?なんのために?とか、なんでこんなところまでトゲトゲなのか?とか不思議な恐竜は多いですね。お子さまと盛り上がること間違いなし。
もう一つ注目したのは『世界を変えた100の化石』です。イギリスの大英自然史博物館で人気だった展覧会が書籍になったという贅沢な図鑑。恐竜のような定番化石にとどまらず、不思議な化石、驚きの歴史をもった化石が盛りだくさん。夢のある1冊です。
豪雨、迷走台風、猛暑とこの夏は大変な異常気象が続いています。そんな中、子ども向け図鑑として発売されたこちらに注目が集まっています。なぜ異常気象が発生するかを知るために、まずは身近な天気の仕組みを解説し、その後にそれが組み合わさって発生する異常気象について説明しています。大人が読んでもわかりやすく面白いというのが最近の子ども向けの図鑑。子ども向けと侮るなかれ、です。
子どもは危険生物や毒をもつ生き物が大好き。怖いもの見たさとはよく言ったものです。見るからに毒々しい劇画調の本も多い中この本は表紙からわかるように細密画をつかって紹介しています。飾っておきたいような美しい絵で毒生物を紹介しているところもなんとなく皮肉な話です。
会いたくないけどそっと見ていたい、そんな毒生物を堪能ください。
北欧の生活、暮らしを生活に取り込むというのは、数年前からずっと人気でライフスタイルジャンルでは「北欧」は人気キーワード。北欧ミステリが話題になった時期もありました。そこに加えて今度は「数学」の本が登場して話題になっているようです。
公式を覚えるということではなく、手足を動かして数の論理を学んでいくということがこの北欧式の特徴。だから眠くならない、んですね。数学が苦手な人、苦手になりそうなお子さんをお持ちの方に手にとって欲しい作品です。
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もともと夏休みというのは図鑑がよく売れる時期でしたが、『ざんねんないきもの事典』がベストセラーになって以降は図鑑をめくるだけでなく周辺の情報、面白さに注目した見方をする本が増え、売場もバラエティに富むものになりました。まずは読み物で「このいきものの見どころ、読みどころ」に触れ、詳しく知りたくなったり、もっといろんな種類を知りたくなったりしたら図鑑、という流れもいいのかもしれません。何より、最近の図鑑は最新学説が盛り込まれているので、大人が知識を簡単にアップデートするためにも使えるのです。
子どもも、かつて子どもだった大人も。この夏いきものに目を向けてみてはどうでしょうか?