「文春砲」という言葉が世の中に広く認知されてからまだ1年足らず。今年はどんなスクープを?と思っていた矢先、週刊新潮が週刊文春についてのスクープ記事を出すという、思いもしない展開に突入。出版業界を戸惑わせています。
相変わらず雑誌の売れ行きは厳しく、再生までの道のりは長そうです。しかし、一方で、雑誌というのは書店店頭にお客様を定期的に呼び込む大事な商品でもあります。毎月、毎週決まった時にお店に足を運ぶからこそ、出会うことのできた本も多いはず。今回は、話題になっている週刊誌について調べてみたいと思います。
先日、日本雑誌協会が印刷証明付き部数(2017年1月〜3月)を公表しました。その情報を元に、一般週刊誌ジャンルの雑誌について、読者の男女比を出してみました。それが下記の表です。(男女比は日販WIN+調べ) *各誌とも3月末発売の号の読者データを参照しています。
雑誌名 | 出版社名 | 印刷証明付き発行部数 | 男女比 |
---|---|---|---|
週刊文春 | 文藝春秋 | 651,833 | 44% VS 56% |
週刊現代 | 講談社 | 487,273 | 74% VS 26% |
週刊新潮 | 新潮社 | 447,706 | 48% VS 52% |
週刊ポスト | 小学館 | 383,636 | 75% VS 25% |
週刊プレイボーイ | 集英社 | 183,333 | 88% VS 12% |
週刊大衆 | 双葉社 | 176,683 | 90% VS 10% |
週刊アサヒ芸能 | 徳間書店 | 142,878 | 85% VS 15% |
週刊朝日 | 朝日新聞出版 | 139,050 | 59% VS 41% |
SPA! | 扶桑社 | 108,433 | 70% VS 30% |
サンデー毎日 | 毎日新聞出版 | 98,975 | 66% VS 34% |
AERA | 朝日新聞出版 | 85,358 | 33% VS 67% |
ニューズウィーク日本版 | CCCメディアハウス | 55,342 | 79% VS 21% |
あくまで、書店での購入を元にしたデータになりますが、このデータを見るだけでも週刊文春と週刊新潮の特徴と、類似点は明らかでしょう。同じ曜日に発売されている、ということだけでなく、どちらも男性より女性に読まれている雑誌なのです。参考までに、『女性自身』の男女比率を調べてみると、それでも女性の読者比率は70%程度でした。
併読率が高いのもこの2雑誌の特徴です。週刊新潮の5/18号の購入者の54%が同日発売の週刊文春を購入しているというデータが出ています。この傾向は他の号においてもほぼ変わりません。
続いて、読者層を見てみましょう。もちろん男女比だけとってもこれだけ各誌特徴がありますので、一概には言えませんが、部数ナンバー1となった週刊文春の5/18号の読者は下記の通り。
60代が読者層のピーク世代になる雑誌がほとんどで、80代まで広く読者が広がる雑誌も珍しくありません。一方で、30代を境に購入者は激減。この層に雑誌を読む習慣を根付かせることは出版業界にとっての大きな課題です。
さて、週刊誌読者の併読商品から注目作品を紹介していきたいと思います。芸能から事件、経済まで様々な事に敏感な読者の皆さんは数々の新作を手にとっていらっしゃいました。
どこまでがフィクションなのか、これを超える現実があったことを知れば知るほど、読者が受ける衝撃が大きくなるはず。北九州監禁殺人事件を彷彿させる事件を背景に、フィクションだからこそ書けた「現実」が見えてきます。怖いけど先が気になる問題作。
『バカの壁』に始まり、我々に数多くの壁を提示してくれてきた養老先生。最新作は京都がテーマです。こちらの作品の併読本ダントツトップは『京都ぎらい』でした。やっぱりそうかという感じです。『京都ぎらい』『応仁の乱』『京都の壁』と、時代は違えど京都研究本がまだまだ人気です。
文系・理系は問わず、地形や地面の成り立ちに興味が集まっています。TVの『ブラタモリ』の影響もあるのでしょうが、気になる本の出版も続々相次いでいます。講談社ブルーバックスの今月の新刊で手に取った人が多くいらっしゃるのがこちら。美しい石の写真が並んでいるわけでもなく、歴史や文化的な面から石を語るのでもなく、たった3つの石だけを選んで解説するという1冊。石初心者にもお薦めです。
直近では、『ロケット・ササキ』が話題になった著者、大西さんが大手電機メーカーを分析し、今後を考えた1冊。電機業界の歴史を知るのにも役立つため、業界OBから、今就職を検討している学生にまで幅広く手に取られています。
一部の週刊誌の読者の併読本には官能小説なども目立ちます。そういった艶っぽいタイトルに混じって目をひいたのがこの春画本。春画掲載の是非が話題になったのは2015年のことですが、やはり未だに根強い春画人気はあるようです。
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週刊誌の低迷が続くと言われたままの昨今ですが、それでも週刊誌発のスクープは連発されており、メディアとしての存在感は一昔前よりも高まったかのような感覚も受けます。このスクープがまた、今年の流行語大賞にノミネートされるような話題になることを、一読者としても心待ちにしています。