気が付けば夏も過ぎ、金木犀の花も終わりに近づいている。前回の朝会が5月で、3か月に1回は集まろうね、と言っていたのも記憶はおぼろ。しかし新刊レビューは途切れることなく続いているのは奇跡のようだ。
この間でも何回かの「HONZ砲」が放たれ、話題の本を取り上げてきた。今ホットなのは『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』だろう。そろそろ増刷分が入荷する頃だ。
今回初参加はふたり。入会早々バリバリ書いてくれている。澤畑塁と堀内勉。どうぞみなさまご贔屓に。
久しぶりの朝会でみんな張り切って(?)いるのに、代表の成毛眞はお休み。体調不良だそうだ。季節の変わり目、みなさまもお気を付けください。
では久々の朝会開始。
◆トップバッターはだいぶ大人びた刀根明日香から。
いきなりの理系本で驚かされたが、今はやりの分野の入門書として良いようだ。鹿島先生の本はハズレがない。フランス文学ってそんなに日本で読まれてないのかな。美女を学ぶの、美女になりたいのか、ビミョーなところかも。本書で紹介されていたイザベル・アジャーニの映画が面白おかったとのこと。
◆仕事柄、日本と外国を頻繁に行き来している佐藤 瑛人
1冊目を出したときに「おーっ」という声が上がる。メンバーの何人も手に取って止めた本。分厚い上に2段組み。錆という切り口はいいので誰かに読んでほしかった。地方再生の切り札で成功しているオガールプロジェクトは興味がある。大統領選真っ盛りのアメリカで、日本人に分かりにくい2つの党についての指南書。
◆「ほんをうえるプロジェクト」の仕掛け人、吉村博光
夢はダービー馬の馬主だという吉村。著者が東大の先生で、趣味で書いているところがいいそうだ。大きな問題となった産婦人科で出産時の死亡事件。なぜ警察が関与しなければならなかったのかを裁判の流れで追う。季刊「新そば」という雑誌があるのを知らなかったが、蕎麦好きたちが思いを綴ったエッセイ集。装丁がいい。
◆多忙なビジネスマンでありながら読書欲は落ちない。分厚い本は村上浩に任せろ。
映画で有名な「アラビアのロレンス」。彼を筆頭にアラブ世界を舞台に暗躍した4人のスパイを描く。鰐部あたりが歯ぎしりしそう。アフリカに渡った日本の新興宗教の本は内藤とカブる。二人の話を聞いていると、相当に面白そう。ウミガメの回遊の研究とは、なんか壮大で羨ましい。
◆メンバーになってすぐにスマッシュヒットを飛ばす澤畑塁は専門出版社勤務。
アメリカで900件近いレビューが付いた『身体は~』はいろいろなアプローチの心理療法を追ったもの。また内藤とカブる。2冊目は大学で哲学を専攻していた澤畑ならではセレクション。『進化は万能である』はすでに冬木のレビューがあるが、じっくり腰を据えて読みたい本なのだそうだ。
◆スーツ姿が板についてきた峰尾健一
シズル感という言葉さえ、まだしっくりしないのだけど、美味しいものを表現する言葉の変遷をえがいた『ふわとろ』。時代によって変化しているそうだ。少し有名になってくると欲しいサイン。作ってもらうと2万円するという情報は仲野徹から。日本の精神病棟は外国から見ると異常らしい。イタリアで活躍した精神科医の評伝。
◆入会早々、立て続けにレビューをあげている堀内勉。50代の新人はひさしぶり。
原書で読むことが多いという堀内。ケルトの風景の美しさに魅せられているそうだ。大震災が起こる国では、その後文学的な激震が起きる。日本の震災文学も続々発表されている。かつてイギリス人は命を懸けて島を出て各国を渡り歩いたという。そんなトラベルライターが書いたものから見えてくるものは何か。
◆編集長として様々な企画を立ち上げ、HONZ砲を放ち続ける内藤順
先日の東京藝大の本から美術に関心が出てきたという内藤。ちなみにこの本の推薦文はHONZ代表の成毛眞。大統領選挙というのは、終わった後にマーケティングに少なからず影響を及ぼすものだそうだが、トランプの場合、全く未知数だという。最後はシャープを買収した郭台銘を『和僑』の著者が斬る。
◆下町の水にすっかり馴染んだ山本尚毅
『日本人の9割に英語はいらない』という人もいれば0歳児から英語教室に行かせる親もいる。では英語はそもそもどんな歴史を持つのか、とは面白そう。雨を切り口に自然科学から文学まで縦横無尽に語った一冊。『百学連環』は西周が行った講義で、それを現代に訳しなおした作品だが、少々手ごわそうだった。
今回参加したのは18人なので、9人ずつ2回に分けて掲載し、欠席者は3回目にまとめてアップします。さらに多様になったメンバーの選本をお楽しみください。ただし長いです。ごめんなさい。