「面白そう!だけど買えないっ!」でおなじみのこのコーナー。満を持しての登場です。今年も残すところあと少し、そのカウントダウンとタイミングを合わせるかのように、今年最高の一冊が登場しています。それではさっそくSOLD OUTになった書籍を紹介していきましょう!
塩田 春香がレビューを公開するやいなや、ものの1時間でSOLD OUT。さらに在庫がないにもかかわらず仲野 徹が追い打ちをかけ、まさに話題沸騰の一冊。それが『冒険歌手 珍・世界最悪の旅』である。
この本、本当に最悪で、本気でヤバい。朝会の最中に購入し、翌日には読み終えたのだが。強烈過ぎて夢にまで出てきたほどだ。もちろん、悪夢である。
本編もさることながら、巻末の後日談までもがスゴい。それだけで確実に一冊の本が仕上がるほどの濃度の濃さ。過酷な冒険の途中でも、平穏なはずの日常下でも、まるで引き寄せられるようにアンビリーバブルな出来事が次々と峠恵子さんを襲う。
ここからは「無謀であることこそが、最大のアドベンチャーである」という法則が導き出せるだろう。この法則は、東西南北や老若男女を超越する。だから、誰が読んでも面白いのだ。
これだけゲロ、オシッコ、ウンコの通奏低音にまみれながらも、なぜか読後感は爽やか。全てを取り払い、己の身体だけが織りなす行為の中に、眩しいくらいの愛らしさが見えてくる。
一方、これをHONZ朝会で紹介した塩田 春香の奮闘ぶりもスゴかった。謎の前日入りを遂げた、フライング・塩田。前日の朝6時、「朝会の会場はどこですか?」との電話に起こされ、「朝会は、明日です」と返した時のリアクションが少女漫画のようであったマーガレット・塩田。「きゃ〜 すみません」って、転校してきたばかりの主人公が遅刻しそうになって、廊下で先輩にぶつかった時の一コマじゃないんだから…。
前日入りしたにもかかわらず、なぜか発表の順番が最後になってしまうビリギャル・塩田。それでも『冒険歌手』を投入する時の目のギラツキ方が堅気のものではなかった緋牡丹・塩田。このディープインパクト・塩田が、最後尾のポジションから驚異的な追い込みを見せ、一気に場を持っていってしまったわけである。まさに2015年秋の朝会は、塩田 春香に始まり、塩田 春香に終わったと言えるだろう。
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2015年のHONZが全力でレコメンドする『冒険歌手 珍・世界最悪の旅』。まだまだ盛り上げていきます。書店等で見かけたら、是非お買い求めください。
HONZ編集長・内藤 順
※アマゾンの在庫状況は執筆時点のものです
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