『冒険歌手 珍・世界最悪の旅』著者インタビュー 
まだ見ぬ「峠 恵子」を求めて

2015年12月11日 印刷向け表示
冒険歌手 珍・世界最悪の旅

作者:峠 恵子
出版社:山と渓谷社
発売日:2015-09-18
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2015年のHONZが、全力でレコメンドする『冒険歌手 珍・世界最悪の旅』。あらためて冷静に振り返ると、この本に関しては何から何までヘンである。

真っ先にレビューを書いた塩田春香は、朝会で紹介した時から様子がヘンだったし、続いてレビューを書いた仲野徹はいつもと変わらぬように見えるが、元々ヘンな人である。強烈なキャラクターを誇る藤原隊長、そして若き日の角幡唯介、おまけに担当編集者までもがヘンだった。時空が歪んでるのかと思うほどに、何かがおかしい。

それなら著者の峠恵子さんは、どれくらいヘンな人なのか。その目で確かめてみたくなるのも無理はないだろう。実はレビューが掲載された直後から、峠さん本人へアプローチはかけていた。しかしその時彼女は、豪華客船で歌うため海外へ行くという、おおよそ本書の内容とはかけ離れた仕事をしており、連絡の取れぬ日々が続いたのである。

事態が動き出したのは、11月の最終週だ。帰国したばかりの峠さんとメールでやり取りがはじまる。すぐにインタビューをさせてもらうことのOKまでは出た。しかし「ライブに招待しますので、よかったら来てくださいね〜」というメールが来たが最後、そのまま再び音信不通状態になってしまう。

「この日の、このライブですかね?」などとメールを打ってみるも、返事は来ない。しかし本書を読んだ方ならお分かりかと思うが、これくらいのことで驚いてはいけないのだ。おそらく、このインタビューそのものも冒険の一環なのだろう。そう解釈した僕は、それと思しき町田のライブ会場へ向かった。まだ見ぬ峠を求めて、東京のその先へ。

田町から町田へ。ただそれだけが言いたくて…。

ライブ会場の扉を開き、おそるおそる係員の人に話しかける。

この扉の奥で、峠さんに会えるのか? @まほろ座MACHIDA

「あの〜、今日のライブに招待されているかもしれない、内藤と申しますが」
「はい、承っております」

よっしゃぁ。第一関門、突破! 話通ってたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

そして終了後に、インタビューをさせてもらいたい旨も伝え、会場の中へ。既にライブは始まっていた。

ラ・ラ・ラ・ライブ

じゃーん。初めて見るリアル峠恵子、しかも歌っている!

カーペンターズの名曲から、BS朝日「鉄道・絶景の旅」の主題歌「主人公」、そこにオリジナルの曲も交じる。最後はお客さんと掛け合いながら曲を決め、締めは「コーヒー・ルンバ」で。とにかく生で聴くと、迫力がスゴい。

一方合間のMCはというと、これが本の印象そのまま。そのギャップが、多くの観客たちを魅了するのだろう。そしていよいよライブが終わり、インタビューの時を迎える。

ついに! 本当に本当に峠恵子さんがやって来た!

内藤:今回の本を出された後の反響は、いかがですか?

 :もう、前回の時(『ニューギニア水平垂直航海記』)と全然違いますよ。前回は本を出したっていっても、ほとんど反響がなくて…。唯一あったのが椎名 誠さんくらいですかね。で、だいぶ経ってから高野さんが反応してくれて。だからHONZのフライング塩田さんには、もう感謝、感謝ですよ。

あ、ビール飲んでいいですかね?

内藤: あ〜もう飲んでください、飲んじゃってください、とことんヤッちゃってください。

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決定版-HONZが選んだノンフィクション (単行本)
作者:成毛 眞
出版社:中央公論新社
発売日:2021-07-07
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