歌舞伎町の雀荘で働いていたときから「無敵のストリートファイター」と怖れられ、プロ入り後も猛烈な勢いで昇段し続ける新進気鋭の雀士がいます。その名を佐々木寿人といいます。
佐々木氏は仙台市出身のプロ雀士でアマチュア時代は「フリーで1000万貯めた男」として名を馳せ、『真剣』という漫画のモデルにもなった人物です。
なんとなく保守的になりがちな現代において、攻め続け、勝つことに意味があると言い放つ佐々木氏には学ぶ所がたくさんあります。
今日は著書『人生勝たなきゃ意味が無い』から少しだけ雀士・佐々木寿人の言葉をご紹介しようと思います。
「『やり続ければ、どうせ勝つ』と思っていれば、実際に勝つことができる。いつか立ち直れるんだから、その悩む時間がもったいないんじゃないの?」
アマチュア時代、雀荘で100万円以上負けて、タクシー代もなくなり、とぼとぼと家まで歩いて帰ったことがあるのだそうです。でも、次の朝には気分を切り替えて「今日は勝つぜ」と思っていたのだとか。
過去の成績を考えても、これからの自分を想像しても、「どうせ勝つに決まっている」。だから、いま悩むことは本当に意味がないし、時間の無駄。悩んで強くなるわけではない。そう考えたのだそうです。
「人生にはさまざまな局面があって、すべてに勝てるわけではない。トータルで見れば絶対に勝てるのだから、一回の負けにくよくよするのは無駄」
なるほど、落ち込むというのはこれからの自分を信じていない証拠です。これからの自分を信じていれば絶対に勝つはず。であるならば、落ち込んでいる時間、悩んでいる時間は無駄だ、と。たしかにその通りです。
しかし、どうしても運が悪いとき、流れに乗っていないときも人生にはあります。そういうときはどうすればいいのでしょうか?
「どう考えても自分に流れが来ていない、というときはある。どう考えても相手にすごくいい流れが来ている、とわかるときがある。普通はそういうときは嵐が過ぎ去るのを待つのだけれど、僕はあえて攻める。攻めて勝てれば儲けものだし、難局で勝つことができると真の力になる」
調子の悪いときにこそ、あえて動く。攻める。そうすると調子が戻ったときに、予想以上のジャンプができる。
たしかに調子の悪いときは、ふさぎこんだり、「今日は人に会うのを止めておこう」などと考えがちなのですが、そういうときにこそ、あえて動くことが大切なんですね。
既に調子が悪いんだから、うまくいかなくて当たり前だし、でも調子が悪いときに、もしうまくいけば、儲けもんです。なるほど。
そして「勝つ」ということに対してこう言っています。
「言いたいのは『勝つ』ことは大切だということ。 勝つことは楽しい。満足して死ぬためにも僕は勝っていたい」
「勝つ」ということがあまり評価されない時代なのかもしれません。
一時期、カリスマ社長がもてはやされ「稼ぐが勝ち」と豪語し、その後失脚。それ以降、なんとなく「儲ける!」とか「勝つ!」ということを言わなくなりました。それよりも「協調」とか「調和」とか「みんなで豊かに」という風潮が強まっています。
もちろんそれは大切だと思います。人と人が思いやって手をつないで豊かになる。それはいいことだと思います。
が、あえてここは言うべきなのだと思います。人生勝たなきゃ意味が無い、と。
みんなで豊かになれればいいけれど、みんなで何もしないで下を向いて死を待つのは嫌だし、間違っている。だから、勝てる人は勝つべきなのです。そして、負けた人も次に勝てばいい。はなから「勝たなくてもいいや」と思ってしまったら何も得られません。
佐々木さんは勝つことにこだわります。なぜですか? と聞くと単純に「飯を食うため」そして「そのほうが楽しいから」。
そう。勝つって、大切だし、面白いし、楽しい。難しく考えなくても「事実、そうだよな」と思ったのです。
「もし負けても本当に本当にそれで満足できるのであれば、それはその人の生き方だから何も言わない。だけど、あとで悔やむならば、勝つことにこだわったほうがいいのではないか」
最終的には自分が満足できるかどうか。使い古された言葉で恐縮ですが「人生は一度きり」です。本当に満足して一生を走りきりたいものです。
麻雀の話を通じて人生における勝利の大切さ、また勝つための心構えが満載の『人生勝たなきゃ意味が無い』をぜひよろしくお願いいたします。
星海社 竹村俊介
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