つくる側の喜びと苦悩 『星新一 一〇〇一話をつくった人』 最相葉月

2010年11月15日 印刷向け表示
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採点:★★★★★

星新一好きはもちろん、アイデア発想法、「新ジャンル」の創造に興味がある人にもおススメ。最高峰の伝記

学生の頃は熱心に読んでいた星新一が星製薬の御曹司であったことすら全く知らなかったが、その人生は想像を超えてドラマに富んでいる。上下巻に分けても各々が400ページを超える分量だが、全く飽きることなく読了した。

星新一〈上〉―一〇〇一話をつくった人 (新潮文庫) 星新一〈上〉―一〇〇一話をつくった人 (新潮文庫)
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最相 葉月

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■感想

本書を読むと星新一と話をしたくなる。

著者がインタビューした相手の皆がその会話の面白さ、予想のつかなさについて言及する。

新一自身も人が予想しないこと、突飛なことを言うように常に心がけていたようだ。一緒に酒を飲んだらさぞかし楽しいんだろうなー。タモリもその発想については驚かされることしきりだったようだ。

だからどうなんだってことをよくいうんですよ、星先生って。なに考えてるんだか。ほんとに不思議なことばかりいう人でした。

誰もがアッと驚くそのアイデアの発想法についても本書には沢山のヒントが書かれている。

上述したように、常に相手が驚くような発言をするように心がけることはもちろん、面白い本や映画に出会うとそのストーリーを可能な限り暗記していたそうだ。それもただ暗記するだけでなく、暗記した内容を友人たちに話し、どのように話せば皆が驚くか、喜ぶか、笑うかを観察し、ブラッシュアップしていたそうだ。

有名な単語カードの組み合わせなど、その他の「アイデア」を出すための手法も非常に興味深い。

本書を読んでいると松本人志のことが頭に浮かんだ。小学生のときの自分のアイドルは間違いなく松本人志だった。小学校の高学年の時(位だったと思う)に星新一を初めて読んだときは「まっちゃんのコントみたいで面白い!!」と感じた。とはいえ、本書を読むまでそのことはすっかり忘れていたので、都合よく作り出された記憶かもしれない。

このような本を読むと自分も物語をつくってみたいな、という気持ちと、自分などには到底無理だなという気持ちが同時にでてくる。先ずは真似ること、暗記することから始めよう。

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