HONZのサイトやメルマガを楽しんでいるのは本好きな大人たちがほとんどで、本書のターゲットである野球好きの小中学生はあまりいないと思われます。したがって、このワンコイン広告も「野球好きな子を持つ、本好きな大人」が対象です。「うちはあいにく娘で…」「息子はもう就職だし…」という方は、親戚や友人のお子さんに野球少年はいませんか?
本書のつくりは、「どこか懐かしい匂いのする野球指南本」です。私(昭和41年生まれ)が子供の頃は、プロ野球の名選手(長嶋さん、王さん、堀内さんなど)が「キャッチャーミットだけを見て投げよう」「毎日の素振りが大切だよ」などと、ちょっと気恥ずかしくなるほどストレートな内容で語りかける野球入門書がよくありました。
最近はその手の本は見かけなくなりましたが、本書ではPL学園の黄金時代を築き、プロ野球でも大活躍した立浪さん、野村さんが、平成の野球少年たちに向けてビュンビュンと直球を投げてきます。
「キャッチボールではしっかり足を上げる」(その理由も)
「グラブやスパイクは必ず自分でみがく」(その理由も)
「悩んでいるチームメイトに声をかける」(その理由も)
などなど、今どき親からはなかなか言いにくいことも、確かな説得力をもって、さわやかに書いてくれています。
野球少年は忙しいので、なかなか書店には行けません。行っても、マンガを買ってしまう可能性が高いです。なので、この本は親が、練習疲れでぐっすり寝ている子の枕元にそっと置いてあげてください。幸い、「普段ちっとも本を読まない子が、これだけは読んでいた」という報告があちこちから届いています。白かったページが手に染みついた土で少し汚れていたら、きっと親子の野球談義もはずむことでしょう。
集英社 内山直之
*「編集者の自腹ワンコイン広告」は各版元の編集者が自腹で500円を払って、自分が担当した本を紹介する「広告」コーナーです。