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誰もが偉大な家系の1人
大人になるにつれ、誰しも先祖に対し興味が大きくなるのではないか?私は30歳になる迄、自分の祖父についてろくな知識がなかった。両祖父は私が生まれる17年前に他界していたからだ。記憶も何もない。せめてざっくりとした人物像くらいは知りたい衝動にかられ、4代上迄の戸籍謄本を取得し、去年2010年は家系を遡っていた。
そんな中、今年は『ご先祖様はどちら様 』に出会った。この手のタイトルには妙に反応してしまう。何よりルーツ探しは足を動かすのが基本なので、著者とシンクロする部分は多い。著者とは『からくり民主主義』や『やせれば美人』などで知られるノンフィクション作家の高橋秀実である。
「自分のルーツ探し」が気になっていた方にとって本書は絶好の機会なので、購入をオススメする。本書の流れはこうだ。著者はよく佇む癖があるが、その事を他人から「ルーツは縄文人にある」と指摘され、本人の名字である「高橋」という家系を探す旅に出かける。役所では戸籍を調べ、家系図を探し、家紋を調べ、祖先の土地を訪れ、親戚の話に耳を傾ける。そんな中、自分と先祖の関係を発見していく。
本書でユニークな箇所がある。「自分の親に対して、先祖に関する情報を説明していくうちに、あたかも子供に対して説明している感覚になった。親子関係が逆転していく現象がおきた」これは本当だ。戸籍謄本からは意外と面白いデータがとれる。離婚歴、実は誰それの養子など。また役場の人が書いた、達筆な字体も見応えがある。本書のディテールの面白さは著者の書き方のスキルによるが、本書から疑似体験し、購入するのと同時に自分の家系のルーツを是非探してほしいと思う。思わぬところで「おじいさんの写真がみつかったよ」など、不思議な家族との連帯感がひょっこり生まれる。意外に親戚の一体感は強く計り知れないものだ。
※4代上まで遡る際に参考とした『家系図のつくり方が面白いほどわかる本/丹羽 基二』こちらは気軽に家系図をつくりたい人にオススメ。
※本文には、全員が除籍となった戸籍は80年が経過すると廃棄されるとありますが、2010年の戸籍法施行規則改正により、150年に延長となりました。