『「コンビニ食・外食」で健康になる方法』 いつでもどこでも、カラダマネジメント!

2013年3月18日 印刷向け表示
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「コンビニ食・外食」で健康になる方法

作者:浅野 まみこ
出版社:草思社
発売日:2013-02-14
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健康のために気をつけたい食生活。毎日手作りでバランスのよい食事が食べられれば理想的だが、忙しさのあまりついついコンビニ食が続いてしまう、もしくは、バラエティに富んだ外食の誘惑には勝てないという方も多いだろう。

しかし、もう罪悪感を感じることはない。コンビニ食や外食だって、ちょっとしたコツやノウハウがあればカラダを健康に保つことはできる。本書は栄養士による「一日三食が外食でも、自分のカラダをコントロールし、健康に保つための方法」の指南書だ。

まず手始めに「食事の基本」を押さえていこう。体を動かすエネルギー源は糖質。この「糖質」をどの”大きさ”で取るかによって体への影響は変わってくる。

たとえば、ごはんを食べると主成分である炭水化物はデンプンと食物繊維に分けられる。デンプンは「多糖類」、つまり糖がいっぱい鎖状につながった状態になっている。体は「多糖類」をもっとも小さい「単糖」にまでゆっくりと分解していき、そこでようやく小腸から吸収される。

小腸から吸収された「単糖」は血中に入ると「血糖」と呼ばれる。血糖値が上がりはじめると、すい臓から分泌されるインスリンの働きにより、糖は細胞内に取り込まれエネルギーに分解される。さらに、食物繊維は消化の過程で糖質の吸収をおだやかにしてくれるため、炭水化物を摂取したときの血糖はゆるやかに上昇する。

では、砂糖をなめるとどうなるのか。砂糖は単糖が2個くっついた状態で二糖類と呼ばれ、ほとんどそのまま小腸から吸収されるために血糖値が急激に上がってしまう。びっくりしたすい臓はインスリンを大量に分泌し、血糖値を下げようとする。この血糖値が急激に上下することで、すい臓をはじめ体に負担がかかってしまう。

糖類の多い飲料を飲むと一気に「元気になる」ように感じるのは、このとき同時にアドレナリンなども分泌されるためだ。しかしその後、急激な血糖値の低下に見舞われがっくりと疲れが出てしまう。さらに、すい臓が一生のうちに分泌できるインスリンの量は決まっていると言われる。過剰な糖の摂取が続けばすい臓はすっかり疲れてしまい、やがては糖尿病へとつながってしまう。甘みに舌が慣れてしまった方は要注意だ。

まとめ 甘い飲み物を習慣化しない。

「コンビニ弁当」と言えば、「健康に悪い」「カロリーが高い」「あまりおいしくない」といった悪いイメージを持つ方も多いはず。しかし選び方次第では、コンビニで手に入るもので炭水化物と食物繊維の摂取量をコントロールすることも可能だ。

コンビニ弁当を選ぶときには、次のポイントに気をつけたい。

注意1: 揚げ物をとりすぎない

唐揚げ、フライ、天ぷら中心の弁当は避ける。カロリーも多く、時間が経って酸化した油をとることで細胞に傷がつき、生活習慣病や老化の原因となってしまう。揚げ物は、最大でも一品に抑えよう。

注意2: 炭水化物のメニューをかぶらせない

「お好み焼き+焼きそば」弁当や、ごはんの脇にパスタとポテトサラダが添えられたような弁当は禁物。炭水化物が重なってしまい、糖質のとりすぎになってしまう。

注意3: 野菜の豊富な弁当を選ぶ

肉や揚げ物には目もくれず、野菜の付け合せの充実したものを探すのも手だ。野菜メニューを別に追加することで補うのもおススメ。

現在のコンビには食材も豊富なので、弁当に不足する栄養を補う一品追加する技は積極的に使っていきたい。「トマト」や「枝豆」、「とうもろこし」、「カットキャベツ」といった野菜類はもちろん、「おでん」コーナーでは「大根」「卵」「つみれ」「こんにゃく」「厚揚げ」など、野菜やタンパク質、炭水化物など栄養バランスのよい食材がアツアツで手に入るもうれしい。

間食の気分転換に、ちょこっと食べるには良いものがコンビニにはたくさんある。「スルメイカ」や「さきイカ」をよく噛んだり、「さけるチーズ」を少しずつ時間をかけて食べると満足感も高まる。ドライトマトやドライマンゴーなどの干した野菜・果物も、食物繊維の重要な摂取源になる。選び方次第で間食も「体の調子を整える」チャンスに変えていこう。

続いては「外食」で健康になる方法。ファーストフードやファミレスでひとりで食事をしている人を見ると、たいていケータイやスマートフォン、雑誌を見ながら食事をしている。

ここで重要なのは、口の中に意識を集中すること。スマホの画面を見ている場合ではない。しっかりと噛んでいるうちに唾液と混じり、食べたものが徐々に味わいを変える瞬間を感じ取るのだ。意識を集中させて噛むことで胃液の分泌も活発になり、同じメニューを食べていても食後の満足感が全く異なってくる。

どうしてもかきこむように食べてしまう人は、カレースプーンの代わりに、ティースプーンや箸を使うのも良い方法だ。白米よりも玄米、ひき肉よりもかたまりの肉。繊維が多く、何度も噛まないといけないものを注文するのもおススメだ。こんにゃくや押し豆腐、切り干し大根、しゃきしゃきとした食感の野菜など、噛んでいて食感が楽しいと思える食材も長く噛んでいられる。そばやうどんは「のど越し」で食べず、もぐもぐとよく噛むのがおススメだ。

まとめ 「カレーは飲み物」ではない。田舎者と思われても蕎麦はしっかりと噛む。

その他、本書では「中華料理」の油をどうしのぐか、「焼肉店」で肉の脂肪をとりすぎない上手な方法、機内食の「和食」と「洋食」の食べ方の極意や「立食パーティー」や「朝食ビュッフェ」の攻略法など、人とのお付き合いや旅行や出張先などの外食時の様々なシチュエーションで使えそうなテクニックが満載だ。

疲れているときに甘いものがほしくなる、気合を入れたいときにこってりガッツリの店に立ち寄ってしまう、というのは実は要注意信号。「頭」が食べたがっているものと「体」が欲している食べものというのは、実は異なっているのかもしれない。体は口がきけない分、体調を崩すまでじっと耐え忍んでいる。何ともイジラシイではないか。本書をきっかけに自分の体と向き合い、あなたの体を食べ物で労わってあげてほしい。

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甘い物は脳に悪い (幻冬舎新書)

作者:笠井 奈津子
出版社:幻冬舎
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こちらも栄養士による食生活のアドバイスが満載の一冊。レビューはこちら

やせる! (光文社新書)

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「カツマ流ダイエット術」によれば、「やせる!」とは、健康で長生きできる体を作ること。自身の実体験をもとに、食生活、運動、時間管理の具体的な改善方法を提案。

愛の山田うどん ---廻ってくれ、俺の頭上で!!

作者:北尾 トロ
出版社:河出書房新社
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我らが埼玉県民のソウルフード、山田うどんはある意味「健康食」とは対極にあるかも……。「カロリーのK点超え」連発メニューも何のその、郷土愛にあふれた笑えるエピソード満載の一冊。『オオカミの護符』も登場します。

決定版-HONZが選んだノンフィクション (単行本)
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