おいおい、こんなネタバレ本を出しちゃっていいのかよ?
本書を読み終わった後の正直な感想である。「ハーバード流」なんて枕言葉がついているが、なんてことはない、要は「総合商社マンの宴会術」である。これまで暗黙知として脈々と受け継がれてきた商社マンの伝統的な宴会術を体系的に整理し直したのが本書。若手商社マンが数年かけて学ぶことをまとめている貴重な一冊だ。
著者は元商社マンでハーバード大学MBAホルダー。もともと下戸でシャイで宴会嫌いだったそうだが、商社に入社後、地獄の宴会千本ノックを受け、宴会術がすこぶる上達。「参加者がどれくらい楽しんでいるかが色で見える」という域にまで達した宴会の達人である。その後、ハーバード大学経営大学院に入学して勉学に勤しんだそうだが(ちなみに同期はライフネット生命副社長の岩瀬大輔氏)、在学中にアメリカのジャンクフード・バッファローウィングの全米調理選手権に出場し全米優勝という異色の経歴の持ち主である(彼の大学院生活に関しては前著『パンツを脱ぐ勇気』が詳しい)。
そんな少し変わった著者が今回上梓するのは、ハーバードMBAで学んだ知識をもって商社マンの宴会術を体系化させるというもの。「くだらねー」と思うかもしれないが、侮ることなかれ。宴会の場所選びから、合コンのアイスブレークテクニック、外国人をもてなすホームパーティーのコツまで、これらをマスターできれば宴会だけでなく、仕事も出来る奴と思われること必至。下手なビジネス書を読むよりよほど価値ある一冊である。毎年新入社員に贈りたいほどだ。
例えば本書が紹介するテクニックの一つは、飲み会場所を決める際にグループ内のお姉さまやお兄さま(存在感ある方)に相談すること。相談して味方になってもらえれば大成功である。幹事としては最大のサポーターを得たも同然。彼女・彼らを味方にすることで、当日までの人集めや目上の人への口利きなど色々な場面で助けてもらえるのだ。
別にお姉さま・お兄さま向けに限ったテクニックではなく、要はキーパーソンを予め巻き込むのが大事なのである。下準備ない飲み会は当日盛り上げるのが難しいが、飲み会を盛り上げてくれるキーパーソンをあらかじめうまく巻き込んでおけば、当日の会は自然と盛り上がっていくものである。
その他にも、本書には、合コンでの自己紹介の仕方、なるべく多くの人を二次会まで連れて行く方法、結婚式二次会で参加者を泣かせる方法、一発芸で笑わせるコツなどなど、宴会テクニックが惜しみなく紹介されている。きたる新年会のシーズンに向けて、一読しておくべき一冊だろう。斜め読みできて、短時間で読みきれるので忙しい年末年始にはもってこいだ。
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こちらは著者とハーバード同期の岩瀬大輔氏が翻訳した方。
著者のハーバード時代を中心に書いた前作。ちなみに『ハーバード流 宴会術』にも『パンツを脱ぐ勇気』にも出てくるが著者ハーバード大同期の「超宴会キング」は私の入社時のメンターで、私に宴会の極意を教えてくれた恩人である。