科学読み物だけでは物足りないという方のために人文系で買った本を紹介してみよう。
『ナチ略奪美術品を救え』
この分野では同じく白水社から『ヨーロッパの略奪』が出版されている。これを持って白眉とするべきだと思うのだが、なにしろ5000円を超える高額本である。とはいえ本書も3360円だ。モニュメンツマンとははじめて知った言葉だ。
『日本の刺青と英国王室』
これまた3780円と高額本だ。帯を読むと、明治にすでに日本で禁止されていた刺青を、来日した英国の王子たちや貴族がこぞって入れたというのだ。チャーチルやルーズベルト、スターリンも入れていたのだという。意外や意外。
『ニッポンの穴紀行』
12の穴から日本の近代史を考える。
第一章 軍艦島(長崎県) ——–捨てられた集合住宅と穴
第二章 釜石鉱山と東北砕石工場跡(岩手県) ——–宮沢賢治ゆかりの穴
第三章 新内隧道と狩勝隧道(北海道) ——–開拓の苦闘が印された穴
第四章 国立国会図書館(東京都) ——–書庫になっている地下8階までの穴
第五章 滋賀会館地下通路(滋賀県) ——–文化施設がコラボする宙ぶらりんの穴
第六章 人形峠夜次南第2号坑(岡山県) ——–怪しい光を発する希望の穴
第七章 黒部ダム(富山県) ——–高熱隧道とクロヨンの穴
第八章 日韓トンネル(佐賀県) ——–全長200キロの穴
第九章 吉見百穴と巌窟ホテル(埼玉県) ——–親子3代の夢の穴
第十章 諏訪之瀬島(鹿児島県) ——–ヒッピーと巨大資本の抗争史
第十一章 友ヶ島第3砲台跡(和歌山県) ——–使われなかった要塞の穴
第十二章 糸数壕と山城本部壕(沖縄県) ——–沖縄戦の傷痕が残る穴
『ギターと出会った日本人たち』
大正100年実行委員会推薦だという。2011年は大正100年にあたるらしい。調べてみると、この委員会は日本大正村がある恵那市が運営しているようなのだ。「華やかな明治」と「波乱の昭和」の間で「静かに佇む大正」という印象がある。年が明けるとメディアは大正・大正と騒ぎ立てるのかもしれない。
『暗殺国家ロシア』
ウィキリークスで暴露された情報に「スペイン検察庁のホセ・ゴンザレスが、ロシアとは一言で言えばマフィア国家であり、政府の活動と犯罪組織の活動は区別がつかないと評した」というものがある。当然多数のジャーナリストも殺される。恐ろしいのう。この国の業なのであろうか。
『にっぽんの客船』
版元のINAX出版はあのバス・トイレのINAXの子会社である。INAXは銀座の端で書店も運営している。常滑にあるミュージアムも見ごたえがあると聞いている。陶磁器メーカーであるがゆえに文化につながりが深いのであろう。元の社名は伊奈製陶。元トーヨーサッシのトステムと、住生活グループを作ったのだが、そのブランドはLIXILだ。あまりの複雑さに海馬から記憶がこぼれ落ちる。