中国叩きの本は数があまりに多いため、読む気にならなかった。本書は例外である。本屋で品定めをしたのだが、最後のページでの著者の主張が気に入ったのだ。いわく「日本を敵国と仮想している中国に食糧調達の多くを依存している現状を正すべきであろう。(中略)たとえばアメリカの穀物を買うことは、一時のような異常な価格高騰さえなければ、「防衛」上の戦略として一定の意義がある。」という部分だ。
じつのところ、わが国が食糧自給率を100%にするなど不可能だと思う。食生活を根本的に1世紀前に戻す以外に方法はない。だとするならば、完全に信頼できる供給者と取引し続ける必要がある。消去法で考えるとそれはアメリカ以外にはありえない。中国大好きのオーストラリアは信頼できない。ブラジルは遠すぎる。逆にいうと、信頼できない供給者の口車に乗らないようにしなければならない。そのためには相手を良く知らなければならない。つまり、目的をはっきりさせて相手を知る必要があるということだ。
本書は中国人そのものの性質を語っている。現代中国人の諸問題を中国共産党の功罪として単純化したりしない。真っ向から中国人は古来から戦闘的で信用ならない人々だというのだ。そしてその中国人たちが近代から現代にかけて行った国家的犯罪や個人の犯罪性向も分析的に羅列する。中国から入国拒否をされるのではないかと他人ごとながら心配になるほどだ。
メラミン混入事件とそれについての中国人の反応、オリンピックのやらせ演出や見当違いの国民の盛り上がりなどで、世界の嘲笑を買い続けている中国には、ともあれ一人っ子政策のおかげで内乱や革命を起こすポテンシャルはないのではないかと思う。このまま世界の物笑いの種になりながら、あと数十年で超少子高齢化社会に突入することになる。