写真集である。しかも版形は小さく95ページで1600円もする。ページあたり単価が高すぎる。元日でなければ紹介しない本かもしれない。お屠蘇気分で眺めるとじつにおめでたい空の写真で満載なのだ。
まずは「飛行機雲」という写真がすごい。普通の白い雲の中を1機の飛行機が飛んでいる。その飛行機のあとにはオレンジ色と赤の2色の飛行機雲がきっぱりと引かれている。著者は高校教師にして、第50次南極越冬隊員、気象予報士で空の写真を撮り続けている空のエキスパートだ。この飛行機雲についての解説もじつに的確だ。
「空からの夕焼け雲」という写真ももの凄い。まるでSF映画の噴火口を覗き込んだような感じだ。「地球照」という写真では宇宙を感じることができる。ペーパームーンの月が地球の太陽反射光を再反射して影の部分が浮かび上がるというものだ。こんな写真は知識があってもなかなか撮れるものではない。筆者も30年がかりで本書をものにしたらしい。
それにしても版形が小さすぎるし、解説もこの5倍の分量があっても良い。新年そうそう残念な本だ。