塀の中の著者からの献本だ。副題は「ホリエモンの獄中日記195日」。出版社はなんと文藝春秋である。3月の文藝春秋からの新刊は『毛沢東 大躍進秘録』『藤原正彦、美子のぶらり歴史散歩』『グーグル、アップル、マイクロソフトに就職する方法』などダイナミックレンジ広すぎである。そのなかでも本書『刑務所なう』は実録マンガ付きだ。これは文藝春秋始まって以来の快挙なのかもしれない。512ページで1000円。1ページ単価2円以下という書籍も珍しい。
ホリエモンの有料メールマガジンに掲載されていた「堀江貴文のブログでは言えない話」をまとめたものなのだが、西アズナブルのマンガ10編、「スタッフは見た!」というコラム、本人による「時事ネタ評論」という記事も付いていて、じつにお買い得だ。
毎日つけている日記の3分の1は食事の記録だ。7月5日夕食「麦メシ、和風クリーム煮、ガーリックソテー(ほうれん草)、角煮佃煮」。10月2日夕食「麦メシ、魚のカレームニエル、生揚げのトマト煮、ほうれん草のピーナッツ和え」。12月6日昼食「麦メシ、いかと野菜のうま煮、わかめ卵とじ、ポテトサラダ、りんご」など、意外にも旨そうなのだ。というか、毎日の献立に悩んでいる主婦にまじにおススメだ。ところで、長野刑務所では冷奴にからしを添えているのだそうだ。醤油に溶いて食うと旨いという。早速やってみよう。
「スタッフは見た」も相当面白い。キャメル色のメリヤス下着を嫌うホリエモンにわざと差し入れようとしてみたり、お尻を拭くためのちり紙は「並」のほうがさっぱりして良いなどと打ち合わせをしていたり、田原総一郎氏が面会するときにはサンタのコスプレで付いていったり、悲壮感など微塵もない。そもそも本人も刑務所生活を楽しんでいるのではないかと勘違いしてしまいそうなくらい明るい。
巻末には195日に読んだ本のベスト150。『二重らせん』や『宇宙は”地球”で溢れている』といった科学ものや、村上龍の『空港にて』などの小説など千差万別。もちろん大量のマンガと映画も紹介されている。ホリエモンの満期出所日は2013年11月9日だから、まだ600日近くあることになる。「刑務所なう」はシーズン4まで続くことになるのだろうか。お尻やら血尿やら大変そうなのだけど、まずは次のシーズン2を期待してます。