文字通り「山はどうしてできるのか」を説明した本だ。副題の「ダイナミックな地球科学入門」もまさにそのとおり。事象はダイナミックであり、本書はあくまでも入門書である。プレートテクトニクス、プルーム、溶岩ドーム、大地溝帯などの用語を自力で説明できる人にとっては物足りない内容であろう。しかし、そうでない人にとっては格好の入門書だ。とりわけ、中高生にとってはワクワクする内容であることは間違いない。
なるほどなあと思ったのは、単にプレート同士がぶつかってもヒマラヤのような高山はできないことだ。たしかに日本には海溝こそあれ高山はない。その理由は一方のプレート、とりわけ沈み込む側のプレートが海プレートだからだという。両方が陸プレートであるヒマラヤ造山帯とは異なるのだ。陸プレートと海プレートには質量の差があり、重い海プレートは沈み込むが、軽い陸プレートは沈み込めずに、盛り上がってしまうというのだ。このように、人によっては知っているつもりでも、欠落している知識の断片が見つかるかもしれない。