著者は元自衛隊、武器補給処技術課研究班勤務。Wikipediaによると、陸上自衛隊は1998年までだが、武器補給処は霞ケ浦、需品補給処は松戸、施設補給処は古河・通信補給処は大宮・衛生補給処は用賀という具合に5つの駐屯地に機能分散をしていたのだという。そこでは調達や補給だけでなく、調査研究も行っているのだという。だから補給所じゃなくて補給処なんだと妙に納得。
ところで本書は全ページフルカラーで「銃とはなにか」「銃の歴史」「弾薬」「拳銃とサブマシンガン」「ライフル」「機関銃」「弾道」「散弾銃」「銃床」の9章建て。ミリタリーマニアや銃マニアには物足りないかもしれないけれど、本マニアにとっては興味深かった。たとえば、世界を不安定化している要因の1つであるAK47は「突撃銃」というカテゴリーに属しており、これは第2次世界大戦でナチスドイツがつくりだしたStG44が原型だということ。しかも、現在世界で使われている小銃はすべてこのカテゴリーだということ。ナチスドイツは機関銃でもMG34,MG42という汎用機関銃をつくりだし、現在でも機関銃といえばこのカテゴリーを意味するのだということ。つまり、ナチスドイツは銃器と運用のドクトリンのマザーだったのだ。
ほかにも合掌造りで有名な岐阜県白川郷や富山県五箇山では、江戸時代に硝石造りを秘伝として行っていたこと。人体にあたると銃弾が潰れ大ダメージを与えるために、国際法で禁止されているダムダム弾の名称はインドのダムダム兵器工場からきていること。日本の警察だけでなく世界中の対テロ部隊で使われているMP5というサブマシンガンの構造とか、ともかく実生活にはまったく役に立たないトリビア満載だ。