世界で初めて電卓が登場したのが1962年。各桁ごとに1から9のボタンが並んだフルキーボード方式で、重さは14Kgほどあったそうだ。それから50年。最近ではすっかり姿を見ることも少なくなってしまったが、その歴史には驚くべきほどの技術革新があったという。
本書はそんな電卓の50年を、写真で振り返る一冊。著者は電卓の蒐集家。これまでに国内外あわせて1000以上の電卓を集めてきたそうだ。ちなみにその大部分は、著者のサイト「電卓博物館」でも見ることができる。
一口に電卓と言っても、その種類は多岐にわたる。本書では、モダンデザイン電卓、ヴィンテージ・デスクトップ電卓、ヴィンテージ・ポケット電卓、ヴィンテージ・複合電卓、おもしろ電卓の5つのカテゴリーに分けて紹介されている。
日本の電卓史に燦然と輝くのは、1972年に発売されたカシオミニ。3万円程度が平均的な価格であった時代に12,800円という常識破りな低価格を打ち出し、いわゆるポケット電卓の定番商品となったそうだ。
そのほか、複合電卓のカテゴリーでも、ゲーム付き、音声読み上げ、ラジオ付きなどの機能が1980年代の段階で登場しており、まるでスマホの祖先を見ているようでもある。
今や、すっかりスマホやPCの一機能として取り込まれ、偏在化してしまった電卓。ひょっとしたら現在の姿こそが衰退ではなく、進化の最終形ということなのかもしれない。