一年くらい前からシェアハウスなどの新感覚な動きには注目していたのだが、本書は日本全国31の様々な事例が一望できる一冊だ。住居としてのシェアのみならず、自宅を核としてテーマ特化型のサロンの役割を持たせるもの、協働でソリューションを行うものまであるという。これらが、日常編集家なる著者の手によって「住み開き」と命名されている。
日常/非日常の境界線を意図的に編集することによって生まれる、地縁、血縁に続く第三の縁。もちろん昔の長屋の感覚に近いものではあるのだが、決して無理や窮屈を感じている様子はなく、意識的にパプリックを作り出すことで、プライベートの線引きも明確になっている印象だ。
この「住み開き」というものの持つ特性に、突如現れる外来者を招き入れることへの受容性が高いということがあげられる。震災時の帰宅難民の受け入れや疎開先としても、ずいぶん機能していた模様である。
特に興味を持ったのは、東京あきる野市にある約4万冊の蔵書を誇る自宅ライブラリー「少女まんが館」や、大阪西区の絵本や児童文学などを貸し出している自宅図書館「ぶんぶん文庫」など、本に関するもの。いつかHONZでも、こんな空間が持てると良いですね!