平野太呂の写真集である。平野太呂を知っているひとは雑誌「フイナム」を読んでいるような鋭角なひとであろう。鋭角と聞いて、もしかすると父上は平野甲賀ではないかと思ったひとは重度の本マニアである。ともあれ、この写真集に登場するのは細野晴臣、横尾忠則、フードディレクター野村友里、DJクボタタケシ、マスタークラフツマン西條賢など14人のクリエータたちだ。クリエーターは何葉かを除いて、写り込んでいない。彼らの仕事場を説明的ではなく、かといって抒情的でもなく切り取っている。クリエーターのモノ創り空間。ビジネスマンにとってのデスクトップ画面。ぜんぜん違うようでいて共感してしまう。
あとがきで平野は「タイトルに『東京の~』と付けた件。そのほうが何故だか世界的だし、これで完結せずに、その後も続く感じがあると思いませんか」と書いている。まったく同感だ。HONZの内部的な団体名は東京HONZだし、10年ほどまえにも松本大と藤巻健史と成毛眞3人共著で『トーキョー金融道』という本を出版したこともある。NYCとアメリカ、ロンドンとUKがどこか乖離して見えるように、東京と日本の間にはギャップがある。むしろNYCとロンドンと東京という都市間にこそグローバルな共通点を見つけることができる。京都とローマとパリも同様。