有名な報道写真がまとめて見られ、文章で時代背景も解説されている。20〜21世紀を概観するのに手頃な一冊と思い、気軽にページを眺めるつもりで読み始めたが、思わずじっくりと読み込んでしまった。
写真自体があまりに力強いのだ。写真の持つ物語が深く、ずっしりと重い。添えられた解説も適度に詳しく、写真を見ながら、いちいちもの思いに耽ってしまう。人の憎しみと苦しみ、たくさんの死体、そしてほんの少しの希望。これが現代のアメリカ(と世界)の歴史か、と思うと、胸が重たくなる。
尚、撮影に使ったカメラのメーカーや機種、フィルムのメーカーなどが掲載されているのも本書の特徴だ。40年代、50年代は当時の報道カメラの定番であるスピグラこと、スピードグラフィック。その先はローライフレックスやハッセル、ライカなども少し登場するが、あとはほとんどがニコンかキヤノンとなる。80〜90年代はニコンの圧勝で、21世紀に入ってからはキヤノン。カメラ好きなら機種を知ってから写真を見直すとまた別の楽しみがあるかも知れない。