コロナ禍が終わった初のGWの行楽地はどこも盛り上がりを見せているようです。そしてノンフィクション売場も盛り上がってきました。5月も大物が続々!という月になりそうですが、4月も豊作です。新しい期が始まる月ということもあってか、4月は面白い企業ものが目立ちました。
まずは『ゴールドマン・サックスに洗脳された私』
日本では三五館シンシャの日記シリーズでの様々な仕事の裏側暴露が人気ですが、こちらもゴールドマン・サックスの元ディレクターによる暴露本。退職金を捨ててまで秘密保持契約書へのサインを拒否し、内幕告発に臨んだという注目本です。世界のトップ企業の真の姿とは?日本の巨大企業の方では『ユニクロ』が発売されています。どこからきてどこへ行くのか!?
さらにさらに、会社って何?という疑問を持ったときに読んでみたいのが『世界を変えた8つの企業』
最近の大企業だけを扱っていると思ったら、第1章で扱うのが共和制ローマの「ソシエタ」でした。個人ではできない大事業を行うためにつくられたこの企業は現代の会社の原型なのかもしれません。世界史視点でも面白そうな1冊。「会社の役割」について改めて色々考えて、5月病を吹っ飛ばしていきましょう。
それでは、この他4月新刊から気になる本を何点か紹介していきます。
ノンフィクションの中でも鉄板と言われるのが海モノ。難破や遭難からの生還ものはいつも注目を集めるのですが、『絶海:英国船ウェイジャー号の地獄』という注目作が発売され早速話題になっています。
時代は1740年。財宝を積んだスペイン船を追う使命を帯びた船が嵐や病にあい過酷な運命をたどるという話を描いたノンフィクションです。このウェイジャー号の乗組員たちは無人島に漂着、食料や武器の奪い合いはもちろん、乱れていく規律の中で人肉職にも及んでしまう。といった悲劇が描かれます。人は追いつめられるとどんな行動をとるのか、帰還はかなったのか。読みどころ満載、そして映像化も決まっているという話題のノンフィクションです。
極限状態を描いたノンフィクションとしてはもう1本こちらを。アフガニスタン戦争終結時、米軍撤退にともないタリバーンの支配領域拡大が始まります。やがて全土を制圧し、政権を掌握したタリバーンは、フランス人・現地人400人が逃げ込んだフランス大使館を包囲します。
タリバーンの襲撃を受けた大使館からどうやって待避したのか。その禍中にいた著者が緊迫にみちた13日間を描きます。
『タコの心身問題』『タコの知性』『愛しのオクトパス』… などタコの能力について描かれたノンフィクションは枚挙に暇がありません。近年にいたっても発展を続けるタコ研究によると、タコは学習能力や記憶力を有していることもわかってきたそうです。こうなると人間とタコの交流が当たり前になる世の中もすぐそこに来るのでは…
ということで、各方面の研究者から熱い目を向けられるタコ研究が1冊にまとまりました。タコはまさに今が旬です!
Jリーグが31年目に入りました。関係者の証言から、幻のチームとなった「フリューゲルス」の消滅劇に迫ったノンフィクションが話題になっています。Jリーグ創設当初からのチーム、オリジナル10のチームで、多くのファンをもつチームでしたが、突如として発表されたチーム合併のニュースは、サッカーに明るくない私の記憶にも残っています。マリノスとの合併というかたちで消滅することになったチームの裏側では何があったのか?サッカーファン必読の作品です。
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GWも終盤。屋外での読書をするのも今がいちばん良い季節です。本との素敵な出会いがありますように!