2022年がスタートし、芥川賞・直木賞が発表されるなど出版業界も賑やかなニュースが続いています。ノンフィクションに絡んだニュースとしては、アンネ・フランクの隠れ家の密告者が特定された事が世界的な話題になりました。この模様を描いたノンフィクション、『THE BETRAYAL OF ANNE FRANK』は原著発売に続き、邦訳版が2月に発売になることが発表されています。(邦題:『アンネ・フランクの密告者 最新の調査技術が解明する78年目の真実』)大きな話題になりそうです。
他にはどんな本が発売されてくるのでしょう。これから出る注目ノンフィクションを紹介していきます。
2022年1月20日時点の予約受注実績からこの先発売になるタイトルを抽出しノンフィクションの予約ランキングを作成しました。(日販調べ:タイトル・発売日等今後変更になる可能性があります)
出版社 | 商品名 | 著者名 | 発売予定 年月日 |
小学館 | 『バブル再び』 | 長嶋 修 | 20220201 |
河出書房新社 | 『人間研究 西城秀樹』 | 塩澤 幸登 | 20220222 |
河出書房新社 | 『鎌倉殿と13人の合議制』 | 本郷和人 | 20220127 |
講談社 | 『思考実験の原理』 | 榛葉 豊 | 20220217 |
講談社 | 『数式図鑑』 | 横山 明日希 | 20220217 |
河出書房新社 | 『シティポップとは何か』 | 柴崎 祐二 | 20220301 |
集英社 | 『ソ連兵へ差し出された娘たち』 | 平井美帆 | 20220126 |
集英社 | 『たかがジャンプされどジャンプ 日本フィギュアスケートに金メダルをもたらした武器』 | 城田憲子 | 20220126 |
講談社 | 『中国思想史』 | 武内 義雄 | 20220210 |
文藝春秋 | 『後悔の経済学 世界を変えた苦い友情』 | マイケル・ルイス | 20220208 |
これから出る本リストから注目作品を紹介していきます。
米国、最高裁の判事としては史上2人目の女性判事であり、女性やマイノリティの権利を強く擁護し続けたギンズバーグ判事。リベラル層にとっては象徴的な存在ともなりました。その仕事と人生を振り返ります。
1970年代の裁判の記録から、最高裁裁判官としての法廷意見や反対意見などを、自らセレクト。また、最晩年の講演も収録しています。
2020年は日本人初のエベレスト登頂から50年というメモリアルの年のため、これを記念したイベントも多く行われたそうです。それを本の形に残したのがこちら。登頂50周年の歴史を俯瞰出来るノンフィクションです。
輝かしい記録の脇には悲劇もありました。どんな人が歴史に足跡を刻んでいるのか、そして今後のエベレスト登山がどうなっていくのか、歴史と未来を考える1冊。
2月に公開される映画『オペレーション・ミンスミート ―ナチを欺いた死体―』の原作も手がけたベン・マッキンタイアーの最新作。2020年に発売された『KGBの男』も注目を集めました。
今回の主人公、ソーニャはゾルゲにスカウトされたことを契機にソ連軍の諜報機関で活動していた工作員。ゾルゲ以上の諜報員とも表された女性スパイの伝記です。活動の裏側にある人間ドラマはスパイもの好きならずとも心惹かれる物語になっていそうです。
労働関連での話題の書としては『ブルシット・ジョブ』が思い浮かびます。コロナ禍中は「エッセンシャルワーカー」など必要な仕事とその対価などに話題が及ぶことが多かった気がします。必要な仕事なのに給料は…という話になった時、それについて考える種を与えてくれそうな本が発売されます。給料=市場価値なのか、仕事によって収入に格差が生まれるのはなぜなのか。公平な賃金制度への道は?など給料に疑問を思った時に読みたい1冊。
古代遺跡を見る度に、昔の人はどうやってこれを作ったんだろうと思うのですが、この本の内容紹介を読んでちょっとびっくりしました。
戦争のない平和な時、古代ローマの兵士たちは何をしていたのでしょう?司令官は兵士が無為に時間を潰すことを恐れました。そして兵士たちから“暇な時間を奪い取るために”、土木事業に動員しました。
なんと、暇だったからローマ帝国は大都市になってものすごい設備を敷けたのだそうです。具体的にどんな工法を用いて作業が行われ、それが現存するどの施設になっているのかが美麗な絵とともに蘇ります。ローマ好きだけでなく建築関係の方にも手にとってみていただきたい作品。
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オミクロン株が拡大し再びの巣ごもり生活を余儀なくされています。書店には興味深い本が続々届いていますので、読書を通じて世界を広げてください。素敵な本との出会いがありますように。