11月に入り街には賑やかさが戻ってきました。書店店頭では年賀状素材集や手帳、家計簿といった年末年始商品が動き始め、クリスマスに向けた盛り上がりも出てきています。ノンフィクションジャンルでは歴史関連、ESGs関係のタイトルなどが目立ちました。11月はどんな本が出て、売れていたのでしょう。
日販オープンネットワークWINから11月発売のタイトルとHONZのレビュー対象となるノンフィクションジャンルのタイトルを抽出しランキングを作成しています。(2021/11/1~2021/11/30の売上)
日販調べで新書としては年間で最も売れたタイトルになった『スマホ脳』の続編が発売され、大ベストセラーとなった『LIFE SHIFT』の続刊も発売、と上位にはシリーズタイトルが並びました。そんな中注目したのは『古代中国の24時間』です。
実は●●の24時間を描くという作品はシリーズではないのですが、人気のジャンルです。『古代エジプト人の24時間』、江戸、大奥、中世、縄文人…などなどこれまでも様々な世代や国の1日の生活が描かれています。
今回は古代中国がテーマ。資料を読み込んだプロが、古代中国の日常を描き出します。発売からハイペースで売れており今後の動きが楽しみな1冊です。
出版社名 | 書名 | 著者 | |
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1 | 新潮社 | 『最強脳 『スマホ脳』ハンセン先生の特別授業』 | アンデシュ・ハンセン |
2 | 東洋経済新報社 | 『LIFE SHIFT2』 | アンドリュ-・スコット |
3 | 文藝春秋 | 『老人支配国家 日本の危機』 | エマニュエル・トッド |
4 | 扶桑社 | 『コロナ論』 | 小林よしのり |
5 | 宝島社 | 『新型コロナワクチン誰も言えなかった「真実」』 | 鳥集徹 |
6 | 文藝春秋 | 『北条氏の時代』 | 本郷和人 |
7 | ワック | 『馬渕睦夫が読み解く2022年世界の真実』 | 馬渕睦夫 |
8 | サンマーク出版 | 『成しとげる力』 | 永守重信 |
9 | 講談社 | 『頼朝と義時』 | 呉座勇一 |
10 | 祥伝社 | 『共に、前へ羽生結弦東日本大震災10年の記憶』 | 日本テレビ 「news every.」取材班 |
11 | SBクリエイティブ | 『戦後民主主義に僕から一票』 | 内田樹 |
12 | 扶桑社 | 『文在寅政権最後の暴走』 | シンシアリー |
13 | 河出書房 | 『漫画 サピエンス全史 文明の正体編』 | ユヴァル・ノア・ハラリ |
14 | 中央公論新社 | 『古代中国の24時間』 | 柿沼陽平 |
15 | 宝島社 | 『葬られた古代王朝』 | 宮崎正弘 |
16 | 扶桑社 | 『母のトリセツ』 | 黒川伊保子 |
17 | KADOKAWA | 『地政学入門』 | 佐藤優 |
18 | 講談社 | 『永田町動物園』 | 亀井静香 |
19 | 朝日新聞出版 | 『60歳からの教科書』 | 藤原和博 |
20 | 中央公論新社 | 『国造』 | 篠川賢 |
他にも気になる新刊がたくさん!11月発売の気になった本を少しご紹介していきます。
ヤクザの家庭で育った子どもたちはどのような生活を送っていくのか、暴対法条例によって社会から隔離されざるを得ないながら、必ず存在しているその子どもたち。渾身の取材でその真実に迫ります。そこには想像以上に過酷で悲壮な現実がありました。子どもだからこそ、ヤクザの家で起きている事を言えるということもあるはずです。そのリアルが読み手に迫ります。
生物ファンにはこちら。著者は新進気鋭のフランス人研究家だそうです。海の住人たちを主人公にした物語は、最近の科学ネタから歴史上のエピソードまで盛り沢山。冬休み、これを読みながら水族館に行ってみるのも良さそう。
環境問題を考える上で急激な注目を集めている「肉食」。畜産業は地球温暖化、森林破壊、そして資源枯渇の大きな原因であると言われています。肉食を減らすことが大きな課題になりつつある今、人類は何をすべきか、いつまでにどうすべきか、というロードマップとともに語った作品。昆虫食や、代替食品がどこまで進んできているかなど、興味深いデータにも満ちています。
『脳はいいかげんにできている』などの著作を持つ神経科学者が挑んだのは「個性」。そもそも、人の個性とはどうやって出来てくるモノなのか、アイデンティティとは何なのか、誰かを好きになることはなぜ起きるのか。こういった身近なテーマについて、エピソードや実験から迫ります。
著者、コリン・ディッキーは死や幽霊、奇怪な出来事について研究をしているアメリカの作家。アメリカ各地にも多くの幽霊話が残っており、それらはアメリカが抱える根源的な不安からくるものだと著者は説きます。幽霊が出没する裏には、売春宿、刑務所、精神病院、先住民などなどアメリカのこれまでの歴史とも絡み合っているものが多いのだそうです。アメリカ史を幽霊という視点で描いた作品。
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そろそろ今年の各ジャンルベストが選ばれ、発表される時期となってきました。ノンフィクションジャンルではYahoo!ニュース|本屋大賞 2021年ノンフィクション本大賞がそろそろ発表となります。ぜひご注目を!