未曾有。という言葉に辟易としてきた感はありますが、経験のない災害が続いています。気候変動や新たな感染症の発現など、本の中では過去なんども脅威として語られている事も多く、本から学ぶ事の重要性を改めて感じる機会にもなっています。
これから出る注目ノンフィクションを紹介していきます。2021年8月20日時点の予約受注実績からこの先発売になるタイトルを抽出しノンフィクションの予約ランキングを作成しました。(日販調べ:タイトル・発売日等今後変更になる可能性があります)
ヒットを飛ばし続けるブレイディみかこの出世作となった『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』に続編が登場します。普段あまりノンフィクションを読まない層にも感動を与えた大ベストセラー、2巻ではどんな話が繰り広げられているのでしょう。
出版社 | 商品名 | 著者名 | 発売予定 年月日 |
---|---|---|---|
新潮社 | 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』 | ブレイディ みかこ | 20210916 |
文藝春秋 |
『娘の遺体は凍っていた |
文春オンライン特集班 | 20210910 |
NHK出版 | 『デジタル・ファシズム』 | 堤 未果 | 20210831 |
筑摩書房 | 『東京の生活史』 | 岸 政彦 | 20210921 |
講談社 | 『フィボナッチの数学』 | 中村 滋 | 20211014 |
SBクリエイティブ | 『危ない読書』 | 佐藤 優 | 20210908 |
PHP研究所 | 『「縄文」の新常識を知れば日本の謎が解ける』 | 関 裕二 | 20210913 |
帝国書院 | 『地図帳の深読み』 | 今尾 恵介 | 20210826 |
文藝春秋 | 『「独裁者」の時代を生き抜く27のヒント』 | 池上 彰 | 20210901 |
河出書房新社 | 『一冊でわかるトルコ史』 | 関 眞興 | 20210827 |
これから出る本リストから注目作品を紹介していきます。
著者、ヤニス・バルファキスは『父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話』がベストセラーとなった経済学者です。「公平で正しい民主主義」が実現した2025年という資本主義の消滅したパラレルワールドを創り上げ、壮大なifに挑んでいます。資本主義への様々な見方がある中、果たしてそれがなくなった世界はユートピアなのかどうか。興味深い作品です。
ジョニー・デップが製作、主演をつとめた映画『MINAMATA―ミナマター』が9月に公開されます。これは水俣病を世界に伝えた報道写真家、ユージン・スミスの実話に基づいた作品です。映画公開にあわせて、何点かの本の発売が予定されています。こちらは『女帝 小池百合子』の石井妙子による著作。映画の原案にもなっている写真集『MINAMATA』も9月に復刊されます。
「クーラーがなかったら死んじゃう」と、この夏何度口に出したことでしょう…当たり前のように享受している冷蔵技術ですが、それが出来るまでには科学者たちの奮闘の歴史があったようです。そして、その技術はさらに進化を遂げていて、詳細には不老不死の世界をも創り出してくれるかもしれません。
そんな、私たちの生活にはなくてはならない冷蔵技術の過去から未来までを俯瞰するノンフィクション!
2018年、ノーベル文学賞の発表が見送られました。会員の夫に性的暴行疑惑が浮上、それに帯するスウェーデン・アカデミーの対応が非難され、文学賞の評判に大きな傷がついたというのが大きな理由でした。この判断には#MeToo運動が大きく影響したという話もあります。このノーベル文学賞中止を巡ってその裏側で何が行われていたのかを明らかにしたルポルタージュです。
登録書誌によるとページ数は512ページ。大全という名に相応しい鈍器本のようです。惹句に”ベネディクト・カンバーバッチを原材料から作るといくらかかる?”という文字が!
ここにひっかかるとどこまで真面目な本なのか首を傾げそうになるのですが、すでに全米では各書評で絶賛されている翻訳書だそう。「人体」という奇跡のシステムの全貌を解き明かす知的興奮に満ちた1冊です。
コロナ禍中に、積極的な発信をし続ける世界の知性、ジャック・アタリの最新刊。テーマはメディアです。
GAFAの台頭の中、もはや国家でもコントロールが難しくなる中で、メディアはどうなっていくのか。そしてどうあるべきなのかをメディアの歴史を紐解くことで描き出していきます。メディア関係者必読本でしょう。
*
引き続きポストコロナを予測する本の出版が多く予定されています。日本では選挙や総裁選を見据えて政治家の著書も増えてきているようです。自分で考えて、行動すること、そのための材料が本の中には溢れています。よい本との出会いがありますように!