1月。新型コロナウイルスの再拡大を受け世の中には暗い空気が漂う1年のスタートとなりました。外出自粛要請や、大雪などの悪天候もあって書店店頭も苦戦が続いています。
一方、今年は東日本大震災から10年という節目の年にあたります。3.11を見据え関連書の発売や復刊、文庫化などが急激に増えてきています。どんな本が話題になっていくのでしょう。
いつものように、ノンフィクションの予約ランキングから見ていきます。2021年1月20日時点の予約受注実績から2月以降に発売になるタイトルを抽出しノンフィクションの予約ランキングを作成しました。(日販調べ:タイトル・発売日等今後変更になる可能性があります)
前回紹介したオバマ元大統領の回顧録『約束の地』がランキングに入ってきました。アメリカはちょうど今政権以降のまっただ中、政治が大きく動く時期なのでこれからますます注目を集めそうです。
エマニュエル・トッドの『パンデミック以後(仮)』もトランプ退場後の世界の地殻変動をどう読み解き、どう向かい合うかを説いています。人気著者なだけに今後の伸びが期待出来そう。
出版社 | 商品名 | 著訳者名 | 発売予定年月日 |
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宝島社 | 『同調圧力なんかクソくらえ』 | 堀江 貴文 | 20210226 |
KADOKAWA | 『日本古典と感染症』 | ロバート・キャンベル | 20210324 |
SBクリエイティブ | 『一度読んだら絶対に忘れない 世界史人物事典』 |
山﨑 圭一 | 20210222 |
KADOKAWA | 『NHKスペシャル 戦争の真実シリーズ3 731部隊の真実』 |
NHKスペシャル取材班 | 20210430 |
小学館 | 『菅義偉の正体』 | 森 功 | 20210201 |
朝日新聞出版 | 『パンデミック以後(仮)』 | エマニュエル・トッド | 20210212 |
小学館集英社 プロダクション |
『非常識に生きる』 | 堀江 貴文 | 20210311 |
KADOKAWA | 『飼い喰い 三匹の豚とわたし』 | 内澤 旬子 | 20210225 |
集英社 | 『約束の地 大統領回顧録I』 | バラク・オバマ | 20210216 |
竹書房 | 『自分を変える力』 | 桃田 賢斗 | 20210305 |
予約リストから注目作品を紹介していきます。これからどんどん予約が増えますように!
3.11に向けた新刊が増えてきています。こちらは朝日新聞の現役記者であり、ルポライターでもある著者が描いた東日本大震災。地震発生の翌日に津波被災地の最前線に入った著者が見たものはなんだったのか、帰還困難区域を描いた『白い土地』に続き南三陸のあの日を描きます。
福島原発事故について、新事実を元に検証した『フクシマ戦記 10年後の「カウントダウン・メルトダウン」』も注目しておきたい1冊です。
新型コロナウイルスの猛威の前で、エンタメ業界からは悲鳴が聞こえてきています。文化や芸術は不要不急のものなのか。多くの人がその問いを繰り返しています。
宝塚歌劇団の100年以上の歴史には多くの難局がありました。時代を超えて事業を継続してきた裏側にはどんな秘訣があるのか、そこにある普遍の真理から他の企業が学べることも多そうです。
大河ドラマで取り上げられること、お札に描かれることなどで人気が高まり、渋沢栄一をテーマとした本の出版が続いています。今のところ最も売れているのは『論語と算盤』ですが、ここからは評伝を読む方も増えてきそうです。こちらは歴史的人物の評伝を数多く手がけてきた作家、北康利の手によるもの。資本主義の父と言われる渋沢栄一の人生が紐解かれています。
オンラインでのコミュニケーションが増えたからか、話し方や対人関係術の本が売れるようになっています。場を和ませるためのユーモアやジョークは円滑な人間関係をつくる最高の武器ですが、使いこなすのは困難ですし、オンライン会議で滑った日には目も当てられません。
この「笑い」を進化という観点から読み解くという興味深い本が出てきます。”あなたのジョークを洗練させ、あなたを人気者にする(かもしれない)“と書かれているからには読むしかない。
香港にある「チョンキンマンション」。ここには独特の世界が築かれています。関連書としてはすでに『チョンキンマンションのボスは知っている』が出ており、多くのノンフィクションの賞を授賞しています。
世界中のバックパッカーや商人が集うチョンキンマンションには何があるのか、どんな取引がされているのか。そこにはひとつのグローバリゼーションの姿があるようです。著者は人類学者で、長年にわたって現場に通い続けその姿を解き明かしました。
『ヒトはなぜ神を信じるのか』『性倒錯者』などを送り出してきた著者が「自死」の問題に取り組みます。著者自らも鬱による自殺の危機を体験しているそう。進化心理学の立場で分析をしていきます。果たして科学はこの問題に立ち向かうことが出来るのか。人間が取り組まなければならない大きく重いテーマです。
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3・11に大河ドラマ。コロナウイルスの蔓延状況にかかわらず時は進んでいます。今起こっている事を読み解くためにも、心を落ち着け、本と向かい合ってみてはどうでしょうか。