最近、電車の中などで襟元にSDGs(Sustainable Development Goals)のバッジをつけている人をよく見るようになりました。2015年の国連サミットで「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されて以降、年々注目度は上がっており、いまや企業にとっても避けて通ることが出来ない大事なテーマになっているとも言われています。(そんな中、出版業界は相変わらずの返品率40%状態を続けているのでほんとに申し訳ない限りなのですが…)
出版点数も年々増加傾向にありますが、売場での盛り上がりはまだまだといった感じでした。そんな中出てきたのが落合陽一の『2030年の世界地図帳』。ビジネス書の売上ランキングでも上位にランクインして好調に売れています。
実際にどんな世代の人たちが読んでいるのでしょう。
11月に発売されたばかりの作品ながらハイペースで売れています。世代的には50代が読者層のピークですが、それより下の世代にも広く読まれています。SDGs本としてはNo1の売行きの『SDGs入門』と比較してもその違いは明白でした。ズバリそのもののSGDsという言葉をあえてタイトルに入れず(サブタイトルとしては入っていますが)広い読者層にSDGsの知識を届けているようです。
『2030年の世界地図帳』の読者が過去1年間に購入した本の併読本ベスト10はこちら。
銘柄名 | 著訳者名 | 出版社 | |
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1 | 『FACTFULNESS』 | ハンス・ロスリング | 日経BP |
2 | 『日本再興戦略』 | 落合陽一 | 幻冬舎 |
3 | 『10年後の仕事図鑑』 | 落合陽一 | SBクリエイティブ |
4 | 『日本進化論』 | 落合陽一 | SBクリエイティブ |
4 | 『メモの魔力』 | 前田裕二 | 幻冬舎 |
6 | 『学びを結果に変えるアウトプット大全』 | 樺沢紫苑 | サンクチュアリ出版 |
7 | 『AI vs.教科書が読めない子どもたち』 | 新井紀子 | 東洋経済新報社 |
7 | 『ニュータイプの時代』 | 山口周 | ダイヤモンド社 |
9 | 『ニッポン2021ー2050』 | 落合陽一 | KADOKAWA |
9 | 『未来の年表[2]』 | 河合雅司 | 講談社 |
上位は今年話題になったビジネス書で占められていますが、それにしても落合陽一人気がすごい!2019年はビジネス書好調の1年でしたが、その実績を大きく支えた著者であることは間違いないでしょう。
それでは併読リストから気になる本をいくつか紹介します。
こちらも今よく売れているビジネス書。スティーブ・ジョブズ、エリック・シュミット、ラリー・ペイジ、誰か一人の師匠であったとしてもすごい事なのに、この3人にとどまらない名経営者が師として慕う人がいた。というのだからスゴい。2016年に亡くなった師匠の教えを残すべく、弟子たちに取材を行いその教えを記したというのがこちら。プロ経営者中のプロ経営者が何を教えてきたのか興味は尽きません。
SGDsと並び重要視されている「ダイバーシティー」。同じ組織、取引先に様々な文化背景を持つ人が増えるとすると、そういった方たちの文化を理解して付き合うということが非常に大事でしょう。異文化を理解するためにグローバル企業のビジネスパーソンは何をしているのでしょう。
これは小説ですが、細かく取材されその上で描かれたリアリティある犯罪はノンフィクション好きをもうならせているようです。地面師とはどういう人たちなのか、多くの人が知らないところでどんな不動産犯罪が行われているのか。騙されないためにも読んでおくべき話題作。
いまや週刊誌の人気企画となっている”熟年世代の性”。一方で、様々な理由からしたいけれどできない「セックス難民」が今後増えてくるとも言われています。将来のために今やるべき事はなんなのか、真剣に性と向き合う1冊です。
日本国内では「同族経営」にはあまりいいイメージがありません。ただ、この星野さんの研究によると同族経営は独特の強さを持ち合わせているそう。自らがファミリービジネスの研究者となり、様々な人の証言をとり検証を重ねています。その中には今まさにニュースとなっている大塚家具・大塚久美子社長の名前も。
注目企業は何をどうやって強い企業になっているのでしょう。
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2020年は大きな動きがある年になりそうです。平成が終わり、令和が始まった2019年を振り返りつつ、ここから10年のことを改めてじっくり考える。そんな年末年始にしてみませんか?書店店頭には未来について考える本がたくさん揃っていますよ。