9月・10月と荒天の影響を受けて書店店頭も大苦戦中です。そんな中、ノンフィクションジャンルには大きな追い風が吹いてきつつあります。まずは先日こちらでもご紹介した『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』のYahoo!ニュース|本屋大賞 2019年ノンフィクション本大賞の大賞授賞。ノンフィクションの”普通“を超える驚異的な売れ方で関係者を驚かせています。
そしてもう一つが怒濤の出版スケジュールとなった文化人類学分野。ジャレド・ダイアモンドの新刊と、ユヴァル・ノア・ハラリの新刊と、ビル・ゲイツの絶賛を受けたデイヴィッド・クリスチャンの新刊が間をおかずに発売されるとは…惑星直列がおきたかのような状態です。さらには12月にはスティーブン・ピンカーの新作も!ノンフィクションファンからの嬉しい悲鳴が聞こえてきそうです。
大物新刊の発売ラッシュの口火を切ったジャレド・ダイアモンド『危機と人類』はどう売れているのでしょうか。
読者は今のところ男性が9割を占めます。50代~60代が最も多い世代。50代~60代が多いという傾向はユヴァル・ノア・ハラリの著作にも見られます。ただハラリの著作は20代に一つの山が出来るなど、若干若年層読者が多いように見えます。
『危機と人類(上)』の読者が過去2年間に購入した本の併読本ベスト10はこちら。
銘柄名 | 著訳者名 | 出版社 | |
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1 | 『危機と人類 [下] 』 | ジャレド・ダイアモンド | 日本経済新聞出版社 |
2 | 『ホモ・デウス[上] 』 | ユヴァル・ノア・ハラリ | 河出書房新社 |
2 | 『ホモ・デウス[下] 』 | ユヴァル・ノア・ハラリ | 河出書房新社 |
4 | 『FACTFULNESS』 | ハンス・ロスリング | 日経BP社 |
5 | 『昭和の怪物七つの謎』 | 保阪正康 | 講談社 |
6 | 『日本が売られる』 | 堤未果 | 幻冬舎 |
6 | 『哲学と宗教全史』 | 出口治明 | ダイヤモンド社 |
8 | 『お金の流れで読む日本と世界の未来 』 | ジム・ロジャーズ | PHP研究所 |
9 | 『上級国民/下級国民 』 | 橘玲 | 小学館 |
9 | 『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』 | デイヴィッド・S・キダー | 文響社 |
上下巻あわせて購入する事例が多いので『危機と人類(下)』がダントツトップになりますが、2位となった『ホモ・デウス』については購入者の3割はあわせて購入しているという高い併読率を見せています。
近日中に発売になる『21 Lessons』がこのリストに並ぶことは必然でしょう。
併読リストから気になった本を紹介します。
年末が近づいてきて、来年の予想本が増えてきました。こちらは日経BPの各専門誌編集長が新時代に注目すべきテクノロジーを厳選して解説したもの。日経BP総研の研究員がさらなる未来を予測した『ビジネスを変える 100のブルーオーシャン』も同時発売され話題になっています。自分の関連する業界以外についてもキーワードを知っておきたいビジネスパーソン必読。
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』のブレイクでイギリスの社会や経済がぐっと身近なものになり、関連する著作に注目が集まっています。著者はその最底辺の貧困生活を経験しており、その経験から何が起こっているのか、なぜそれが解決されないのか、どうしたらいいのか?を論じます。
2018年にオーウェル賞を受賞した作品は、英国の本質を暴き出してくれているはずです。
ここのところ数年、動物たちの”ざんねんな”側面に注目が集まりがちでしたが、こちらは動物たちを自分の人生の教師としてとらえています。人間以外の種の生物について知ることは「良い生き物になる方法」だ、と。
自分と関わりのあった動物たちからの学びを温かいまなざしで描いた1作。いま家でともに過ごしている動物たちを見る見方も変わってくるかもしれません。
歴史に登場してくる人物の怪異談を紹介した事典。登場している人物は500人以上というボリュームです。歴史上の人物に関わる物語には祟りやら蘇生やら妖怪やらがたまにつきまとい、どこまでがフィクションでどこまでがノンフィクションなのか良くわからなくなることもありますが、それらを整理する意味でも非常に価値のある事典です。これをぱらぱらめくって、気になる人物を他の本で深堀するという事にも使えそう。
そろそろ書店店頭は年末商戦まっただ中に突入します。年末年始は内容、分量ともに重量級の本が良く動く時期。今回ご紹介した本を中心に、各社のとっておきの一冊が続々発売されていますので、ぜひ書店店頭に足を運んでみてください!