「もしもキン肉マン超人が実在したら・・・?」700体以上の超人を仲間ごとに分類し、美しいイラストで紹介した図鑑が発売になった。しかも、来年50周年を迎える「学研の図鑑」のラインナップとして。なつかしさバクハツ、激アツである。発売前から大反響で、多数の予約注文が入ったそうだ。ただし、購入者層には偏りがあったという。
それは、もしかしたらHONZ閲覧者層と年代・性別においてかなり重なるのではないか。しかし、生活動線から、はずれているだろう。私は、情報を届けたいと思った。キン肉マンはフィクションだが、図鑑はノンフィクションである。これは詭弁かもしれないが、どうかHONZで紹介させていただくことをお許しいただきたい。
中学の頃、私のあだ名はラーメンマンだった。残虐超人だが、私は喜んでそれを受け入れた。なぜなら、「キン肉マン」を愛する同級生のみんなのことが大好きだったからである。ちなみに、高校では「北斗の拳」の登場人物からファルコと呼ばれた。もしかしたら、単に私が何でも受け入れるタイプ、ということなのかもしれない。(なんのこっちゃ)
そんな風に、私の人生はフィクションの要素を多分に含んでいる。私は「キン肉マン」や「北斗の拳」から多くのものを学んできた。それは、私だけではないだろう。本書を開くと、あの頃の記憶が蘇ってくる。40年間におよぶ登場超人たちのイラストと解説を読むと、当時のフレッシュな思い(友情とか正義とかナンセンスとか)が沸々とたぎってくるのだ。
その様はまるで、ニンニクを食べたキン肉マンⅡ世の額に「肉」の文字が浮かび上がってくるときのようだ。身体にパワーが充填され、今こそ「火事場のクソ力」を発揮する時だ、というくらい力が漲ってくる。皆様にも、この感覚をぜひ味わって欲しい。では、なぜその力が生まれるのか。それは、その演出をしているのが「学研の図鑑」だからだと思う。
▲学研の図鑑
「学研の図鑑」は、1970年に創刊された児童向け学習図鑑シリーズである。シンプルかつ重厚な当時のデザインがなつかしい。今回のコラボによるヒットは、出版業界に身を置く一人として、非常に勇気づけられた。つまり、手にした時、私は既に興奮していたのだ。しかし、大切なのはその中身である。実は、これがまた凄い!
これは、バッファローマンのページだ。かつて超人界でキン肉族と並んで栄えていたバッファロー一族、唯一の生き残りである。サタンと契約し、悪魔超人となった。頭上のロングホーンから繰り出される技のバリエーションが強さの源。その変身体である「1000万パワーver.」や、別ページには、実寸大ロングホーンのイラストも掲載されている。
岩石の超人・サンシャインのページだ。細かい砂の集合体なので、さまざまな姿に変身できる。超ヘビー級でありながら、自由自在にその身を隠すこともできる。残虐非道な悪魔超人でありながら、友情に篤い一面がある。そのギャップが、私の記憶に深く刻み込まれている。
こんな感じで700体以上、超人の口グセまで紹介されている。魚類のなかま(アトランティスなど)、哺乳類のなかま(バッファローマンなど)、ヒト型超人のなかま(テリーマン、ウルフマンなど)、よろいを着た超人のなかま(ロビンマスクなど)・・・35の分類に整理して掲載されている。ページをめくる手が止まらない!
このような詳しいデータだけではない。戦闘シーンも掲載されており、主要キャラは複数のページに登場している。そのため、物語のなかの様々なエピソードを思い出すことができる。毎週アニメを観ていた方、キン消しを集めていた方・・・記憶のひきだしが次々に開いて、夢中になれること請け合いだ。まさに、究極のノスタルジック図鑑である。
あぁ、子どもの頃の自分にプレゼントしたい!
と、思わずため息がこぼれた。しかし、これほど爆発的な売行きとなっているのは、大人達にこそ必要とされている証なのだろう。私もその一人として、心から感謝したい。40年間「キン肉マン」を続けてこられた、ゆでたまご先生。50年間そして本書の企画に携わった「学研の図鑑」の編集者の方々。本当にありがとうございました。一生の宝物にします。
余談だが、いま私の息子は「にゃんこ大戦争」というゲームに夢中だ。美脚ネコやネコフラワーなど、様々なにゃんこ達が敵に立ち向かうゲームである。先日そのキャラ本が発売され、いま彼はその本に首っ引きである。もちろん、私も一緒に遊んでいる。会話をしていると、彼の性格もわかるし、笑うツボもわかる。
彼が大人になった時、「学研の図鑑 にゃんこ」が出る可能性は低いかもしれない。だが、このフィクションにもストーリーがありドラマがある。彼は、そこから確実に多くのものを学んでいる。私は「キン肉マン」に出会えたことを幸せだと思っているし、彼にも「にゃんこ大戦争」に出会えたことを幸せだと思ってほしい。
私には、この図鑑を見せながらキン肉マンのストーリーを彼と分かち合いたい、という思いもある。ただ彼は、トレインマンやプリプリマン、ベンキマンなど、私があまり知らないキャラを見て大喜びするに違いない。それに答えるためには復習が必要だ。1巻から67巻まで大人買いするか。それとも、本書巻末の「超人の歴史」を読んで我慢するか。いま、大いに迷っているところである。キン肉マン、40周年おめでとう!
画像提供:学研プラス
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