ビジネス書コーナーが活況を呈しています。特に、『メモの魔力』と『FACTFULNESS』はここ数ヶ月1位、2位を争い数字を伸ばし続けています。テレビなどのメディアで大きく取り上げられたことで、普段ビジネス書を手に取らない層にも届いたのが売れ続けている事の大きな要因となっています。売場に人が増えたことで、その後発売になった新刊も動きがよくなっています。
今やベストセラーになり知名度も抜群のこの2冊。発売直後に買った人はどんな方だったのでしょうか。またその読者は「今」どんな本を手に取っているのでしょう。感度の高い読者の購買履歴から、今後のベストセラーを占ってみたいと思います。
『メモの魔力』『FACTFULNESS』それぞれを発売3週間以内に購入した読者を見てみます。
発売からの期間を揃え比較してみると読者の違いがはっきり見えてきます。『メモの魔力』の方が若年層、女性読者が多め。一方の『FACTFULNESS』は初速から男性客に牽引されて売上を伸ばしたようです。
続いて、上記の読者が4月1日以降購入した本を見ていきます。下記の表はそれぞれの併読本の上位10作品、色のついた銘柄は4月以降に発売された新刊となります。
■『メモの魔力』併読本
銘柄名 | 著訳者名 | |
---|---|---|
1 | 『THE TEAM』 | 麻野耕司 |
3 | 『情報だけ武器にしろ。』 | 堀江貴文 |
3 | 『父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』 | ヤニス・バルファキス |
3 | 『GOETHE(4/25発売号) 』 | |
5 | 『メリハリ美筋ボディー 』 | 岡部友 |
5 | 『苦しかったときの話をしようか』 | 森岡毅 |
5 | 『FACTFULNESS』 | ハンス・ロスリング |
5 | 『「伝える力」と「地頭力」がいっきに高まる東大作文』 | 西岡壱誠 |
5 | 『疑う力』 | 堀江貴文 |
5 | 『論理的思考のコアスキル』 | 波頭亮 |
10 | 『Pen(4/1発売号)』 |
■『FACTFULNESS』併読本
銘柄名 | 著訳者名 | |
---|---|---|
1 | 『父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。 』 | ヤニス・バルファキス |
1 | 『東洋経済(4/1発売号)』 | |
3 | 『直感と論理をつなぐ思考法』 | 佐宗邦威 |
3 | 『苦しかったときの話をしようか 』 | 森岡毅 |
5 | 『そして、バトンは渡された』 | 瀬尾まいこ |
5 | 『調べる技術書く技術』 | 佐藤優 |
6 | 『シーソーモンスター 』 | 伊坂幸太郎 |
6 | 『ダイヤモンド(4/8発売号) 』 | |
9 | 『レオナルド・ダ・ヴィンチ[上/下] 』 | ウォルター・アイザックソン |
9 | 『天才数学者、ラスベガスとウォール街を制す [上/下] 』 | エドワード・O.ソープ |
9 | 『GAFA ☓ BATH 』 | 田中道昭 |
どちらもビジネス書コーナーで主に販売されている本ですが、併読本の上位に来た本はそれほど重複がなく『父が娘に語る~』と『苦しかったときの話をしようか』の2作のみ。それぞれの読者層の違いが浮かび上がってきます。
読んでいる雑誌にも違いが出ました。『GOETHE』の特集は「ホリエモン!という生き方」。『Pen』の特集は「泣ける絵本」。『東洋経済』の特集は「FACTFULNESS日本版」。『ダイヤモンド』の特集は「統計学超入門」。いずれも、関連した人、内容が掲載されている雑誌が購入されているということがわかります。
当たり前の事ではありますが、『メモの魔力』はNewsPicksと関わり合いの深い方々の本がよく読まれています。『FACTFULNESS』の併読本では小説も多く読まれており、本屋大賞受賞作の『そしてバトンは渡された』も上位に入っています。読み物要素の多い本がリストに目立ちました。上位に並んだのは、これから注目したい本ばかりですが、新刊を中心に何点かこれまでの売れ方を紹介します。(いずれも日販オープンネットワークWIN調べ)
チーム作りの法則を学ぶ本ということで、新体制になった会社の多い4月によく売れました。日経新聞の広告掲載日に大きな山が出来ています。
父が娘に経済学を教える本と働くことの本質を教える本が同時期に売れているというのも面白いものです。USJ復活の立役者として有名な森岡氏の著作ということで注目度急上昇中。重版の度に売上のペースが上がって行っています。
思考法関連本も今プチブームが起きています。すでに『直感と論理をつなぐ思考法』が売れていますが、4月の下旬に発売されたばかりのこちらも注目度急上昇中。ビジネスパーソンはもちろん、学生にもよく読まれています。
すでにGAFA本はベストセラーになっていましたが、GAFAに加えBATH(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)までを分析したこちらが急上昇中。GAFAはなじみが多いものの、BATHについては名前は聞いているものの、実態は…という方が多いはず。今後目が離せない1冊。
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ここに登場しなかった本も含め、4月に入っても興味深いノンフィクションが多数出版されています。話題の本をすでに読んでしまった、という方もぜひ店頭に足を向けてみてください。きっと、多くの本との出会いがあるはずです。