私は2011年にレーシック手術をして以来、視力矯正の為のコンタクトレンズやメガネを着けていない。変装のために度なしの伊達眼鏡をする程度。それも友人がやっているブランドのものを提供してもらったりするのでいわゆる眼鏡店には全く興味がなかった。
その為眼鏡店の事情にはめっぽう弱い、というか全く興味がない。だからOWNDAYSの事ももちろん全く知らなかった。人混みに行くと指を刺されるのでショッピングモールにも繁華街の昼間もほとんどうろつかない。そりゃ気づくわけもない。そんな眼鏡販売店の再生の物語。普通なら興味を持つわけもない。
きっかけはコルクの編集者・佐渡島庸平のフェイスブックの書き込みだった。彼がnoteに連載されていたOWNDAYS田中社長の原作をめちゃくちゃ評価していたのだ。こんなことは滅多にないしnoteは一話ずつ読めるので、つまらなかったら途中で読むのやめればいいかという軽い気持ちで読み始めた。止まらなくなった。ただでさえ毎日の過密スケジュール、情報収集、飲み会笑で忙しいのにこの作品に時間を取られまくってしまったのだ。
実は田中社長、OWNDAYS以前はウェブサイト制作の小さな会社の経営者だったらしい。そこからひょんなきっかけで債務超過でボロボロの会社の再建計画を転売手数料稼ぎ目的で作ってたら自分でやりたくなって突っ走る系の人だった。なんか私に似てるけど私の場合はそんな時代にネットバブルがやってきて金は唸るほど集まった。だから実は資金繰りの苦労などほとんどしたことがない。銀行借り入れもお付き合いでやった程度。資金ショートしそうになることなどないし、返済や支払いを猶予した事もない。
しかし田中社長は正反対の環境だった。資金ショートや部下の裏切り、取引先とのトラブルなどありとあらゆる試練が押し寄せてくる。私だったらたぶんさっさと見切りをつけて辞めてしまう事態だろう。
そんな大変な経営事情を余す事なく、事実は小説よりも奇なりという諺を地でいくような疾走感がこの物語にはある。どんな事態になっても希望を捨てる事なく前向きに進んで行けばなんとかなる、そんな気持ちにさせる。経営者は絶対読んだ方がいいし絶対共感するに決まってる。そんな作品だ。
蛇足だがこの作品は私がよく足を運ぶ西麻布のとあるシーシャバーで執筆されていたらしい。わたしが酔っ払って気持ちよくシーシャを吸っている傍で執筆されていたとは、それはそれで感慨深い。