ベンチャー企業の経営を10年やってみて、分かったことの1つは、ダーウィンの進化論の根源的な正しさだった。強いものや賢いものが生き残るのではない、世界はどう変化するか誰にも分からないのだから、運と適応以外に生き残る術はない。全くもって、その通りだと思う。
2006年にライフネットプロジェクトをスタートさせた時、世の中にスマホはゼロだった。これほどまでにスマホが普及するとは頭の片隅にも思い及ばなかった。その意味で、「生保×スマホ」を想定したライフネット生命とKDDI社の提携は必然であったと考えていいのだろう。
本書は、歴史を変えたダーウィンの進化論を(ほぼ同じ時期にウォレスも自然淘汰という考えに辿り着いた)、美しい200枚以上の写真(視覚)で説明しようとした野心作である。
はじめに、ダーウィンとウォレスが進化論を誕生させた経緯が語られる。因みに2人は仲が良かったそうである。次に、太古の歴史から、鳥類、変温動物、植物、昆虫、哺乳類という纏まりで概説がなされ、それぞれの章ごとに素晴らしい写真が続く。読者は、ページを捲るたびに進化論を学んでいくことになる。なるほど、そうだったのか、と。
間に挟まれた用語解説が、またコンパクトに良く出来ていて理解を助けてくれる。ダーウィンもウォレスも、子どものころから昆虫、別けても甲虫が大好きだった。昆虫は、地球上でもっとも多様で数の多い進化の例なのだ。2人が昆虫好きでなかったら、進化論は生まれなかったかも知れない。
そして、我々は、ようやく人類の起源に辿り着く。想像力をかき立てる初期人類の足跡の化石。彼らはどこに向かって歩いていたのだろう。また、眼のような複雑な器官は、自然淘汰によって、いったいどのようにして形成されたのか。現代の科学者は、分子以上のレベルで眼の複雑な構造を解き明かしつつあるが、ダーウィンの信念は、またもや正しかったことが証明されている。
最後は、「進化論」の進化。化石は、生物が突然変異と自然淘汰によっていかに進化して繁栄したかを知るためののぞき窓であり、定期的に地球を襲った大量絶滅の壮大な光景をのぞかせてくれる。過去のビッグファイブに匹敵するような大量絶滅は、また起こるのだろうか。読み終えて、「種の起源」を再読したくなった。少し値は張るが、読む価値のある本だ。