「鳥類学者の本を読むからって、鳥が好きだと思うなよ。」というコメントまで考えておいたのに、今話題の『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』の分析がGWに間に合いませんでした。面白いことを読み解くにはまだまだデータ不足! 全国の皆さんの積極的な購買と、新潮社の皆さんの積極的な重版を期待します。
そんなこんなで、ネタが枯渇したのも一瞬の話。目の前に、可愛らしいアトムの顔が飛び込んできました。そうです、今、出版業界はものすごい人工知能ブーム。人工知能分析本はもとより、あの「ロビ」を分冊百科で作ってしまったり、AIを使った小説を作ろうという企画があったり…
このブームをさらに盛り上げつつあるのがこの春のロボット戦争。講談社から『週刊鉄腕アトムを作ろう!』が発売されたかと思いや、6月には『週刊ロビ2』が創刊。それぞれ完成までは70号〜80号という長期的な定期購読、20万円程度が必要となる壮大な雑誌です。
今回は、創刊された『週刊 鉄腕アトムを作ろう!』の読者を分析してみたいと思います。
まずは読者層。下記は創刊号の読者年齢クラスタです。
前回発売になった、『週刊ロビ』のデータと比較してみるとその特徴がくっきり浮かび上がってきます。
この通り、アトムについては60代が他世代を圧倒しました。やはりアトムというキャラクターに馴染みがある年代であったことが大きく影響しているのでしょうか。こうなると、このロボット戦線に、小学館があのネコ型ロボットで参入してきたら…と変な方向にワクワク感が広がります。
続いて、創刊号読者が直近1年間に購入したものの上位作品を見ていきましょう。
RANK | 大分類 | 書名 | 著者名 | 出版社 |
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1 | 雑誌 | 『鉄腕アトムを作ろう!』 | 講談社 | |
2 | 雑誌 | 『鉄腕アトムを作ろう!』 | 講談社 | |
3 | 雑誌 | 『ゴジラ全映画DVDコレクターズBOX』 | 講談社 | |
4 | コミック | 『こちら葛飾区亀有公園前派出所 第200巻』 | 秋元 治 | 集英社 |
5 | 雑誌 | 『週刊 伊四〇〇』 | アシェット・コレクションズ・ジャパン | |
6 | 雑誌 | 『国産名車コレクション スペシャルスケール 1/24』 | アシェット・コレクションズ・ジャパン | |
6 | 雑誌 | 『パズルコレクション改訂版』 | アシェット・コレクションズ・ジャパン | |
8 | 雑誌 | 『ZARD CD&DVD COLLECTON』 | アシェット・コレクションズ・ジャパン | |
9 | 雑誌 | 『週刊 航空自衛隊 F-4EJ改をつくる!』 | アシェット・コレクションズ・ジャパン | |
9 | 雑誌 | 『F1マシンコレクション』 | デアゴスティーニ・ジャパン |
なんと、こち亀最終巻を除いた他の併読銘柄は全ていわゆる分冊百科。DVDボックスから、○○を作る系までその種類も様々です。一体この方たちはどんな広い家に住んでいるのだろう…という疑問すら湧いてくるランキングとなりました。
しかし、ランキングをよく見てみると、この方達が購入した商品はほぼ創刊号など1冊のみで、買い続けているという感触はありません。分冊百科をとにかく1号買ってみる。という層が一定程度存在していることの表れかもしれません。
もう少しよく見てみると、ランキング中位くらいに『週刊マイ3Dプリンター』というタイトルが並んで出てきます。これについては最初から最後まで購入した方がかなりいらっしゃるようです。最新技術に興味をお持ちの方が、アトムを買っている。とも言えるようです。
さて、アトム購入者が興味を持っている他の銘柄を見ていきましょう。(もっとも、毎週の新刊購入で忙しい方ばかりかと思いますが)
といっても、先ほど書いた通り読者の併読商品はほぼ分冊百科。新商品をチェックしながらも、ハコスカを作ったり、鉄道ジオラマを作ったり、いろいろな作品に取り組んでいます。
悩んだ挙句、奥深い分冊百科の世界を知ることができる1冊を発見! 『本の雑誌』が4月号で分冊百科特集をやっていました。
ここからは人工知能、ロボット関連でのおすすめをいくつか
アトムほか、古今東西のロボットの中からベスト100を紹介したロボット本。人間の友達としてのロボットだけでなく、危険性のあるものについても言及。この中で、実際に誕生してくるロボットはいるのでしょうか?
実のところ、大半の人にとって「人工知能」とはまだまだ曖昧模糊としたものでしょう。技術について考える前に、生命とそれが作り出す「知能」というものを見つめ直した話題の1冊です。人工知能ブームを冷静に見つめなおすことにも繋がりそう。
大人がつべこべ考えているうちに、子どもたちの知識はさらに先をいっているのかもしれません。おなじみの子供の科学の5月号では、人工知能体験プログラム特集が!こっそり読んで子供の質問に備えないと…
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アトム、ロビ、これらの誕生は大人たちが子供だった時に描いた夢が現実にちょっとだけ近づいた瞬間なのかもしれません。このブームが大人の抱き続けた夢を現実にし、子供たちがさらなる未来の夢を描くきっかけになることを祈っています。