山種美術館に行きました。日本画専門の美術館で、作品保護のために展示室は地下にあります。横山大観や奥村土牛など有名作家の作品を多く所蔵し、今回は速水御舟の大回顧展を開催していました。
速水御舟は『炎舞』に代表されるように象徴的、装飾的表現で知られています。と、言っても生涯通して同じような作風だったわけではありません。27歳の時に描いた『菊花図』は病的なまでに緻密で心配になります。『炎舞』を描いた31歳前後では緻密ながらも装飾的な画風になっていきます。さらにその3年ほど後に描かれた『翠苔緑芝』の紫陽花は実験的な手法が取られており、絵の具に火を近づけ早く乾かすことでわざと表面がひび割れるようにしています。
常に新しい表現を模索した速水御舟ですが40歳の若さで亡くなります。ピカソが55歳で『ゲルニカ』を、伊藤若冲が73歳で『仙人掌群鶏図』を描いたことを思うと、速水御舟の晩年の作品は存在しなことが悔やまれます。
それでは今週献本いただいた新刊本のご紹介です。
版元のみなさま、毎度ありがとうございます!