9月4日は「HONZ」代表、成毛眞の誕生日である。9月の定例会は7日。じゃ、ささやかなお祝いを差し上げよう、ということになった。モノじゃつまんないと誰が言い出したか♪ハッピーバースディ♪をダンスつきでプレゼント。鈴木葉月がマンドリンで伴奏し、新井文月振り付け。15分前に六本木集合。出勤で急ぐ人々の訝しげな目を背中に振り付けを習い、いざ定例会へ。今回から参加される内藤順さんも、いきがかり上ダンスにも加わっていただいた。
成毛さん、大爆笑!会場を貸してくださった担当の方は目をまんまるに!
というわけで、恒例の「HONZ」定例会は今回から六本木ミッドタウンの中のd-laboに場所を移すことになった。オーストラリアに赴任中の久保洋介はスカイプで参加。いやはや、凄い時代になったものだ。
7月15日に立ち上がった「HONZ」は順調に閲覧者が増えている。先日の麻木久仁子さんのようなスペシャルゲストも続々と登場する予定である。新しい企画も近日公開。請うご期待!
今回も長い記事になるけれど、どうか最後までお付き合いください。
ではメンバーそれぞれの「今月読む本」3冊。
新井文月
古代文明やオーパーツ好きの新井さんらしい選書。
結構、分厚くて値段の高い本なので、これは彼が読んでから考えよう。
色の話は、この会で頻繁に話題になる。本書は色の名前についてのトリビアが豊富とのこと。パラパラと見せてもらうと写真がとても美しい。
高年齢層を中心に根強いファンがいる太極拳。なぜあんなにゆっくりとした動きなのか、重心の移し方などとても丁寧に書かれてある。
新井さんがこれから始めるためなのか、と思ったら既にインストラクターの免許を持っているそうだ。画家、ダンサー、NPO代表の上にまだ肩書きがあったのか!
山本尚毅
夏休みに新婚旅行でヨーロッパに行ったのだか、いまひとつだったそう。
著者はアフガニスタン人だけに、日本人とは全く違う見方で世界史を語るのではないかとのこと。かなり面白そうである。
これはまた凶暴な装丁だこと。著者はラッパーでふとしたことから麻薬の運び屋になりオーストラリアで捕まった。監獄の中から音楽を発信し続けたそうだが、面白いのはオーストラリアの監獄の待遇のよさ。「捕まるならオーストラリアですよ!」と赴任中の久保さんへ熱く叫ぶ声が上がる。
ギアナ、ベリーズ、ザンジバル、ブルンジなど日本人に馴染みのない国を紹介した一冊。しかしすでにamazonでは品切れ入荷未定。
鈴木葉月
出張の上海からつい先日帰国。激細の体が油でおなかを壊したそうで、もうひとまわり細くなっているみたい。
葉月さん大好きなヤマケイシリーズ。「一度遭難してみようかと思って」と話すところをみると、人生、順風満帆なようだ。
異常気象だと毎年言われているけれど、果たして2050年はどうなっているのかを予測した本。
メンバーから「ああ!」と声が上がった一冊。みんな気になっていたようだ。ゆったりと読みたい、とのこと。
ここで、書店で山ほどの本を持っていた鈴木さんを目撃した高村さんから「あんなに買ったのにこれだけ?」の声が。すると「レジで半分ぐらい返すんですよ」という答えにワタシはちょっと驚いた。えっ、そんなことしていいの?「だって1万円以上買ったら、店員さんだってイヤな顔はしませんよ」
そうか!ワタシは律儀に要らない本は棚に返して歩いていました…
栗下直也
先日の合宿で酔態を晒してしまったので今は減酒中だとか。そのせいかスリムになっていた。
人妻、セクハラときて居酒屋。期待を裏切らないなあ。
オンタイムでアベベを見たのは成毛さんとワタシだけだが、東京オリンピックの歴史として全員が名前は知っていた。裸足の王者は果たしてその後どうなったのか。
夏休みに自分で課した「司馬遼太郎を読む!」その中で気になったのがこの人「恵瓊」なのだそうだ。
最近、この手の独特な新書が興味深い。洋泉社歴史新書や鉄道新書など。ニッチなところを攻めている気がする。
今回から参加する内藤順。
去年の募集に応募するも落選してしまったが、勉強会のリポートをずっと読んでくれていたそうだ。本人の読書ブログがすばらしく、今回からメンバーになってもらった。
広告代理店の営業マンとのこと。
http://blogs.itmedia.co.jp/naichi/
数年前、廃墟やら工場やら酷道やらのマニアがいろいろな本を出したが、著者は「ダムマイスター」の称号を持つ。カレーマニアに有名な「ダムカレー」を作った人だそうだ。なんでそんなこと知っているんだ、土屋さん!
http://www.minakamionsen.com/damcurry.htm
これはダブっている人が多かった。聖書の教えだけを実践して1年を暮らした男の体験記。著者の前作はこれですって。
『空白の5マイル』で開高健賞を受賞後、大宅賞、梅棹探検文学賞まで取った著者の新刊。果たして雪男と会えたのか?
ハマザキカク
秋葉原有隣堂で「夏葉原」企画展中。
http://hamazakikaku.blog136.fc2.com/blog-entry-263.html
戦後、奄美大島は日本ではないと国境を引かれた。しかし沖縄からは忌み嫌われている。そのなかで人々はどう暮らしたか。これは考えたことがなかったなあ。
ムックのVol.3。日本の車メーカーの外国での生産品を日本に逆輸入したもの。どこで何が作られているか知りたい、と強い希望を語る。
絶版本を紹介するのは本意ではないが、どこかで復刊を願って。
すごい本だ。中国の文化大革命時代に写された写真をアルバムにしたもの。今はこの出版社はなくなってしまったそう。
高村和久
夏休みは礼文島へ。しかしネットが全く繋がらず、大いに慌てたそうだ。タクシー会社まで行ってお世話になったとか。
戦争中、南方へ派遣された兵隊のうち、現地に残り首長となった日本人の話。かなりの遺伝子が現地に残されたのだろう。
自然科学系の書籍では定評のある東海大学出版会。マニアックな鳥の巣まできれいな写真が掲載されている。鳥の巣コレクターの心構えなども伝授。
多くの画家や芸術家、評論家を育てた著者の講義録。海外では長く読み継がれていたようだが初邦訳。
東 えりか
HONZで紹介された本の版元へ毎日メールを地味に送っているが、反応はイマイチ。もう少し認知度を上げたい。
江戸時代、海外、特にヨーロッパの文化はオランダからしか入らなかった。その文化交流をたくさんの図版を使って読み取った一冊。マニアックな殿様が買ったのだろうなあという標本がたくさん。
社会心理学で権威からの命令に良心はどう対抗するかという「ミルグラムの実験」というのがあるそうだ。果たしてテレビは権威になるのかをフランスで実験したもの。これは相当怖くて面白い。ツイッターで教えてもらった一冊。
詐欺だの泥棒だのを扱った本に弱いのだ。これは20世紀最大の贋作、絵画詐欺事件を追ったドキュメンタリー。
村上浩
どうやら転職した模様。詳しくはそのうち聞く。
村上さん大好きの精密画付きの本。関西圏だけに限られているが、手仕事から町工場などの現場を訪ねたもの。工場見学は今ブームだ。
医学書の出版社だが、この本はかなり興味深い。ドーパミンD2レセプター発見譚。
以前課題本にした『ハウスオブヤマナカ』を読んだ人には興味深い本だと思う。
久保洋介
オーストラリアからスカイプで参加。時差は1時間ほど。本はネットで買っているそうで、注文すると1週間ほどで届くとか。そのうち向こうの出版事情報告もあるだろう。
歴史の切り口はいろいろある。科学の発展は、世界をある日ポンと違うステージにしてしまう。
成毛さん、土屋さんも興味を持っていた砂にまつわる本。装丁がきれい。
みんなが好きな人工頭脳もの。ヒトを超えることはできたのか。
土屋敦
HONZ編集長でもある土屋さんには、日々みんなの原稿をチェックして一番煩雑なところを受け持ってもらっている。近々、新しい企画が立ち上がってくるはず。
「分水嶺ハンター」の著者が日本中の分水嶺を訪ね歩いたものだが、意外に簡単に行けるらしい。何が面白いんだかわからん、という顔のハマザキさんに必死に説明したが、まったく食いつかず。
HONZのメンバーが大好きな文化史シリーズ。家畜としての存在から性のはけ口まで。
様々な角度から世界史を見るのは面白い。
最後にハッピーバースディの成毛眞
知の再発見双書の一冊。イスラム神秘主義の最たる一派。ぐるぐる回る踊りが有名。
元ヴァチカンの大使が書いた「本当のヴァチカン」。少々硬い文章だが面白い。8月1日発売の本がもうない!入荷が少なかったのかな。
戦後、発展する経済の中でイベントプロデュースを確立させた男のノンフィクション。新しいことに挑戦し続け借金を残して死去。礎を築いた人。
少し時間が余ったので、これ以外にそれぞれが興味を持っている本を発表。
みんな、ダブるのがイヤさにあと何冊ずつカバンに忍ばせているのが可笑しい。
(山本)
(鈴木)
(栗下)
祝・奥様ご懐妊!しかし心構えとして岩波のブックレットを読む人は少ないだろうなあ。
(内藤)
『アインシュタイン』でミソをつけた武田ランダムハウスジャパンの本、って!爆笑。
(高村)
成毛さんがリニアライダー誘致委員会のメンバーだと知る。カミオカンデに何かを打ち込むらしい。
(ハマザキ)
これを「読む」という編集者は珍しいだろうなあ。
(東)
大好きな古文書発見系。
(土屋)
テレビドラマがあったせいか、向田邦子の出版が相次いでいる。
(成毛)
アメリカ人の東大地震学教授の暴露本。いろいろ腹に据えかねたのかなあ。
ここで9時になりタイムアップ。
課題本はちょっと軽めに『ペンギンのしらべかた』。岩波の科学シリーズは非常に面白いものが多いので期待大である。
来月の定例会は10月5日。まだまだ新しいメンバーを考えています。
というわけで長文失礼しました。
皆さん、気になる本はありましたか?