2011年7月15日、HONZが産声を上げました。最初の日は確か300PVくらいだったと記憶しています。あれから4年。1か月で約1,000,000PVという大きなサイトになろうとは、誰が予想したでしょう。
というわけで、HONZ創立4周年記念及び夏休み突入企画として、7月12日(日)14:00~ d-labo二子玉川でイベントを行いました。観客50名様限定でしたが、初の休日昼間のイベントとあって、応募開始3時間で満杯になる盛況ぶり。メンバーも新加入の4名を加えた14名でお迎えしました。
しかーし!HONZのイベントにはトラブルがつきもの。今回もなんとイベント前日に代表の成毛眞から「仕事が行き詰っていて参加できない…」とのメールがきました。まあ、確かに毎月本を出している「月刊成毛」状態がここしばらく続いていますが、困ったなあ、と思っていましたら、「行けることになったよ!」と麻木久仁子からメールが。仕事が立て込んでいて参加が危ぶまれていたため、パンフレットの参加メンバーには載せていませんでしたが、急遽、参戦してくれました。ありがたや~
北海道から成毛に会いに来てくださったファンの方もおられて、申し訳ない気分でいっぱいですが、ドピーカンの真夏日、多摩川を一望に見渡せる会場で無事開催にこぎつけました。
まずは「2015上半期 私の最も〇〇〇な1冊」から
新井文月 【もっともHONZで紹介してはいけない本】
HONZでは自己啓発系の本の紹介はNG。しかし本書はそうみせかけて、実は違っているのだという新井。このメンバーなら、多分手にもとらないかもしれないが、なめてかかってはいけない、と豪語。いまいち、凄さが伝わらなかったのは残念。
内藤順 【私の運命を変えた1冊】
HONZ前編集長の土屋敦が出したばかりの本。『男のパスタ道』 とともに大評判ですが、この本の執筆中は当然、HONZの仕事はできません。業を煮やした成毛代表から「内藤順を編集長に指名する」とある日突然の人事発表があり、「えええ~っ」という間もなく、そのまま編集長となりました。その後土屋さん、お元気ですかー?
冬木糸一 【上半期、私が一番売った本】
ここ数年、文明の滅亡をテーマにした本が多く出ています。ディストピアものが小説に限らず人気です。本書もその中の1冊ですが、根本的なところから論を起こしているところがいいようです。HONZからと冬木自身のブログから多くの方が買ってくださったようですね。
栗下直也 【上半期 最も重かった本】
まずは値段をご覧あれ。17820円!総ページ数2560ページ。1998年3月から2014年3月末まで、共同通信社が16年間の配信した膨大な「書評データ」を一冊に凝縮したものです。掲載書名約5,000点、評者約1,600人。私も末席におりますが、この本は買っていません。栗下はこの本から書評を学ぼうということですが、果たしてどうなるか。図書館に1冊はほしいですけど。
足立真穂 【最も手に入れて嬉しかった本】
中央インドのゴンド民族出身の最高のアーティスト3人の手により、樹木をめぐる神話的な世界を紹介した絵本です。現場で足立が見せてくれた本は第4刷で、この本とは絵が違っています。手作りの手漉き紙がつかわれ、インクもいい匂いがします。入手困難な本らしく、編集者の足立でさえなかなか手に入らなかったとか。無条件でほしくなる一冊です。
塩田春香 【最も冷や汗をかいた本】
塩田が学生の頃、知床でガイドのアルバイトをしていたそうな。あるとき一人で鮭の遡上を見に散歩に出て、中洲に取り残された鮭が可愛そうになり、せっせと川に戻しておった。すると、橋の上から知り合いが大きくて振っておったとな。嬉しくなって振りかえしたら「早く逃げろ」という声が。なんと藪一つ越えてオスの大きな羆がおったとさ。一命を取り留めた瞬間の話でした。本書は吉村昭『羆嵐』の元となった実際の事件を掘り起こしたもの。これは怖いですよ。私も保証します。心臓の弱い方は読まないでください。
柴藤亮介 【いちばん“なるほど”と思った本】
お初にお目にかかる柴藤亮介は、学術系クラウドファンディングサイト「academist」を運営中。どんな人かと思ったら、理路整然としたイケメンでした。
今年の流行語大賞にノミネートされてもおかしくないほど「反知性主義」という言葉が横行してます。ただ、よくわからない。本書はこの主義主張を根本のところから読み解いてくれるそうです。本来の意味をきちんと踏まえて使わなきゃ。
東 えりか 【上半期、一番内藤順に殺意を抱いた本】
事件ノンフィクションの傑作である本書ですが、私はゲラの段階から読ませてもらっていたので、発売時は興奮していました。HONZの朝会の日が発売日だったので、ちょっと触れたのが間違いの元。私の担当日はそれから5日後でしたので、余裕をもってレビューを用意していたところ、なんと発売日の翌日に内藤順がかいちゃったのです。それも洗いざらい全部!ぐぉーっと怒りましたが後の祭り。他で紹介できたのでまあよかったのですが…
堀川大樹 【いちばんセクシーだった本】
こちらも今回初参加の新メンバー、クマムシ博士の堀川大樹。正装としてクマムシの帽子をかぶって登場したので、少々怪しい感じがしましたが、話してみると真面目な好青年。
いちばん面白かったのは自著である『クマムシ研究日誌: 地上最強生物に恋して』 だそうですが、虫の写真をこうやって1冊の本にできる研究者が羨ましいそうです。確かに美しい写真集でした。
峰尾健一 【レビューしたかったけど全く手に負えなかった本】
2001年に44歳という若さで夭折したノンフィクション作家の著作集。 あまりにも破天荒な生活と執筆ぶりで、当時も有名でした。『プロレス少女伝説』『小蓮の恋人』など傑作が絶版になっていたのを、インタビューなども含めて復刊したものです(一部電子化されています)。確かに本書だけをレビューするのは大変難しいでしょうね。
麻木久仁子 【いちばんから元気が出る本】
「なんだかねー、閉塞しているじゃないですか、最近」と語り始めた麻木は、この本で 抱腹絶倒して気持ちを立て直したんだそうです。著者はアナキズムの研究者で、行き着くところ働かずに気持ちよく暮らすには、という方法をずっと考えているようです。その場で本書を買ったメンバーがいるほど、なんだか魅力的な1冊です。
刀根明日香 【いちばん勉強になった本】
放射能とか原発の危険とか、正直よくわからないあなたに、生物学の入門書として超一級の本です。仲野徹のレビューでも絶賛されていますが、予備校の講義録ですから読みやすいし理解が早い。中学生くらいなら読み通せるので、親子で夏休みに読破してみたらいかがでしょう?
佐藤瑛人 【うすうす感づいていたけど、はっきりと解らせてくれた本】
ビル・ゲイツも絶賛してましたね。人類の最初はチンパンジーと変わりなく、お互い殺し合いをしていたのが、年を経ることに殺人によって人が死ぬ確率がすくなくなっているのだそうです。上下巻で9000円あまり、という高額な本ですが一生の 宝となる本のようです。この手の分厚い本は村上浩の独壇場でしたが、よきライバルになりそうです。
村上浩 【上半期、最も期待を裏切らなかった著者】
それは川上量生。毎月のように本を出しているKADOKAWA・DOWANGO代表取締役会長、スタジオジブリ・プロデューサー見習い。2006年より株式会社ニワンゴでウェブサービス「ニコニコ動画」運営にも携わっています。この若き経営者の言葉は鋭く、『ニコニコ哲学 川上量生の胸のうち』『鈴木さんにも分かるネットの未来』など、腑に落ちることばかりが書いてあるそうです。
今回、一番評判になったのは、なんだか高貴なたたずまいをしていた『夜の本』でしょうか。会場にも回してみてもらいましたが、美しい本は見るだけで気持ちが豊かになりました。
さてこのあと、夏休みに読む本を紹介しますが、それはまた別の日に。楽しみにお待ちください。