本書は、そのタイトルの通り「本棚のルール」を書いた本だ。
・仕事の本は本棚に入れない
・社会人として入れておくべきなのは、「科学」、「歴史」、「経済」
・本棚に並べるのは勝負本のみ
などといったルールが並ぶ。
本棚は、整理が難しい。ギッチリ詰まった本棚や、何年も中身が変わっていない本棚の持ち主も数多くいるのではないだろうか。本は冷蔵庫の食品のように賞味期限があるわけでもないし、捨てたり取っておくものの基準もあるわけでもない。
読書が好きであればあるほど、本棚は大変難しい問題になっていく。本書では、そんな本棚を、いつもスッキリ見やすい状態にするのはもちろんのこと、「本棚を自分の記憶の外部装置」として機能させたり、「未来手に入れたい知」を手に入れさせたりするルールをお教えしている。
たとえば、「あらゆる本を拒まず、大量に受け入れるのが『新鮮な本棚』」という項目がある。この「新鮮な本棚」とは、著者の成毛さんが、あらゆる本を大量に読めるように考え出した、「本棚のいらない本棚」である。この本棚のつくり方は簡単、買ってきた本を、家の中のリラックスできる場所に置くだけだ。
詳しくは次の図を見てもらいたい。本のサイズごとにひとまとまりにして、寝かした状態の本を積んでいく。
実際の本棚に入れることを考えると、「この本がハズレだったらどうしよう……」などと考えて、本を増やしたくがないために買うのをセーブしてしまうが、この本棚があるだけで気楽に買える。
気になった本は、片っ端から買って読む方が、本を読まない平凡な人より多くの知識を得られるのだから、この新鮮な本棚を設置するのとしないのでは、今後の人生に大きな差が出るだろう。
成毛さんの本棚にはベストセラーが入っていない。代わりに、あまり人に知られていない、しかし面白い本がズラリと並ぶ。このような本棚を作ることができれば、毎日の読書が楽しくなり、ますます面白い本を手に取るようになるだろう。そんな人間の仕事や人生も、面白いに違いない。最低でも年間で200冊は本を読む成毛さんが、長い読書人生の間で試行錯誤して作り上げていった本棚のルールだ。使わない手はない。
本書の中には、成毛さんの本棚の写真や、オススメ本のレビューなども並ぶ。「これまでの読書を変える大型書店の歩き方」という項目などもある。本好きな人、効率よく知識を手に入れたい人にぜひ手にとってもらいたい。
この本は、おまけとして「HONZ特製 書評の書き方」もついている。実はこの記事も、この「書評の書き方」にそって書いてみた。どこをとっても「使える」のみならず、楽しい本だ。ぜひとも手にとっていただきたいと思う。
KADOKAWAなどを経て、現職。自宅の本棚が大変な状態だったのが、この本を作りながら本棚が見違えてきれいになった。ビジネス本からメイク本まで幅広く編集。