紙芝居が、KAMISHIBAIとして、最近、海外で評価されつつある。紙芝居はアニメやマンガとの類似性も多く、日本独自のメディアアートである紙芝居に注目が集まっているそうだ。日本初のマンガ博物館、京都国際マンガミュージアムでは、紙芝居をアニメやマンガの源流と位置づけ、同館内に常設の紙芝居小屋を開設している。そこでは毎日紙芝居一座による口演会が行われ、ミュージアムの名物イベントとして活況を呈する。
そんな京都国際マンガミュージアムの名物紙芝居師で「紙芝居でノーベル平和賞を獲るのが夢、ハーハッハッハッハッハ」と豪語していたのが本書で紹介されている紙芝居師ヤッサン。2012年に亡くなるまで6年以上にもわたり京都国際マンガミュージアムでの紙芝居一座を執り仕切り、米国スミソニアン博物館含む数々の海外口演で活躍した「変わった人」だ。本書では、そんなヤッサンの生前の言葉を、京都大学卒の弟子が書き起している。
紙芝居屋という一風変わった職業のプロとして40年間活躍し続けたヤッサン。そんな彼の本には個性的な見出しが並んでいる。
第一章 本当の自分を知る
人がほめてくれないなら、自分で自分をほめてやればいい
「シガラミ」はただの「柵」。ザクッと抜いて、バシャバシャ洗う
第二章 自分の考え方を変える
自分の天命を全うする「自分就職」をしようじゃないか
ゴールを少し向こうにおいておく。上に「サバを読む」ことが大事だ
非常識なアイデア歓迎。大風呂敷を広げようじゃないか。
第三章 ガシガシ実行する
泣きわめいて、思いを通す赤ちゃん力って凄いぞ
形式より「心」を伝えるのだ。企画書でなく祈画書
「心構え」なんていらない。「心が前」で臨めばいい
第五章 縁を大切にする
無理に「お願いする」のではなく「ン!」と思う人に
無意味に上機嫌、自ら特上機嫌
自分のため、自分のため、それが世のため、人のためとなるのだ
「変なシガラミは捨てて、好きなこと、やりたいことをやれ」「泣きわめく赤ちゃんのように周囲を巻き込んで実行しろ」「一回の人生、最大に楽しめ」というヤッサンのメッセージが伝わってくる。自分の進むべき道に思い悩んでいる人をドーンと後押ししてくれる、そんな一冊だ。